Column/コラム

自主修正が認められる境界線

自主修正が認められる境界線

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百二十六回目。

テーマは、

「自主修正が認められる境界線」

です。

税務調査で追徴される税金を少なくするために重要
なことの一つに、自主修正の活用があります。

税務署の手を煩わせることなく自分で申告の間違い
を発見し、そのミスを自主的に修正すれば、税務調
査のペナルティーである加算税が減免されます。

しかし、この点、実務ではどのタイミングまでが自
主的に修正したと言えるのか、大きな問題になりま
す。

一般的に言われるのは、税務署が具体的な問題点を
指摘するタイミングまでがこれに当たるということ
です。

このため、税務調査の日程を調整しただけではこれ
には当たりません。

一方で、近年よく増えているのは、税務署が事前に
納税者の申告書を確認した上で、明確なミスがあっ
た場合に、そのミスを電話で連絡して修正申告を求
めるといったケースです。

この場合には、問題点を指摘していますので、自主
修正が認められないとされる場合がほとんどです。

こういう訳で、具体的な問題点を指摘したかどうか
で税務署ともめることが多いのですが、参考になる
裁決事例として、非居住者から購入した、土地の購
入代金に対する源泉所得税に関するものが挙げられ
ます。

納付がもれている源泉所得税についても、自主修正
と同様に税務署に問題点を指摘される前に自主的に
納税すれば加算税はかからないとされています。

このため、この事例においてもそのタイミングが問
題になったのです。

この裁決事例の事実関係をまとめますと、税務署か
ら税務調査の予告があった際、税務署から以下の発
言があったようです。

「非居住者からの土地の取得があ(り、源泉所得税
がもれてい)ると思われるので確認させていただき
たい」

この指導を受けて、法人で内容を検討した結果、税
務署の指導通りであったことが判明した、という状
況でした。

このため、調査法人は税務署が調査に来る前に、自
主的に源泉所得税を納税したのですが、税務署は先
の発言で問題点を指摘していることから、上乗せで
加算税がかかるとして、争いになったのです。

結論から申し上げますと、審判所はこの事例で加算
税はかからない、としています。

具体的には、税務署が問題点を指摘した、という先
の発言について、以下と判断し、具体的な問題点の
指摘には当たらないと判断しています。

「具体的な取引内容や調査対象期間も示されていな
い」

この点ものすごく大事な判断で、税務署の納付や課
税がもれているという「疑問」だけでは具体的な「問
題点」の指摘には当たらず、あくまでも確信をもっ
た、具体的な指摘を税務署はしなければならない、
ということになると考えられます。

先の通り、税務署が事前にミスを連絡することが近
年増えていますが、それがミスの指摘か、単なる疑
問なのか、きちんと判断する必要があります。

それよりも、上記にもあります通り趣旨を踏まえて
じっくりと法律を読むことが重要と考えます。