収益認識基準の適用がもたらしたもの その3 ~経営等における留意事項~
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、企業会計、経営・財務、
税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等を
お伝えします。
132回目の今回も、前回に引き続き収益認識
基準適用初年度の振り返り記事についてお伝
えします。
前回もお伝えしましたが、経営財務のNo.356
8に以下のような記事がありました。
<新経理実務最前線! Q&A 監査の硯場から第2回 収益認識基準の適用がもたらしたもの>
https://www.zeiken.co.jp/mgzn/zaimu/back_number/23427996.php
経営財務 No.3568(2022.08.22号 リンク先は目次のみ)
内容を要約すると、収益認識基準の原則適用
初年度を終えて最も影響があったのは
①一定の期間にわたり収益を認識する方法へ
の変更
と
②本人代理人の識別
の論点であったということ。
そして、①及び②のそれぞれについて、適用
されたことによる主な影響と検討された内容
について記載されています。
前々回は①に関して
収益認識基準の適用により、履行義務の充足
が一定の期間となるような建設業や受注ソフ
トウェア業においては、
適用の結果による売上の計上時期や原価管理
体制の整備に与えた影響は小さくなかったと
いうことをお伝えし、
前回は②の本人代理人の識別において検討す
べき主な内容として、商社ビジネスや不動産
賃貸業における水道光熱費の処理についてお
伝えしました。
今回は今後の経営等における留意事項につい
ても記載がありましたのでお伝えします。
結論から申し上げますと、今後の経営等にお
いては、
(1)ビジネスの履行義務を考え、履行義務を全
うすることは何かを常に考えていく必要があ
る
(2)M&A(企業買収)として非上場会社の買収
を行う際に、算定された企業価値が収益認識
基準に沿って正しく計上された収益により算
定されているかの検討が必要となる
という事です。
(1)については、例えば新規事業を展開する際
には、まずは顧客を特定し、そのビジネスの
履行義務は何なのかを把握したうえで、
履行義務を全うすることは何かを常に考えて
いかなければ、あるべき収益の額とは異なっ
た額の収益を計上することに繋がってしまい
ます。
また、(2)については、非上場会社を買収する
際の企業価値算定においては、非上場会社の
財務数値を元に算定がなされることとなりま
すが、
その財務数値が収益認識基準に沿って計上さ
れていない場合には、算定された企業価値が
正しい価値とはならない事となります。
結果として買収するか否かや、買収価額にも
影響するため、非上場だからと言って収益認
識基準を無視することは出来ないこととなる
と言えます。
このように、収益認識基準の適用により、顧
客にサービスや商品等を提供した際に稼いだ
売上高とは何かについて、
よりグローバルな物差しに近づいたと言え、
非上場企業の場合でもその存在は無視出来な
い状況にあると言えます。