2022年3月の日銀短観~2020年6月以来の悪化~
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計・財務、税務、監
査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えし
ます。
112回目の今回は先週発表された3月の日銀短
観についてお伝えします。
<大企業の景況感悪化、資源高が重荷 3月日銀短観>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB010FP0R00C22A4000000/
2022年4月1日 日経電子版
要約すると・・・、
・大企業・製造業の景況感を示す業況判断指
数(DI)は7四半期ぶりに前回から悪化した
・先行きも悪化を見込む
・ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リ
スクの高まりや資源価格の高騰が影響したと
みられる
というもの。
おさらいになりますが、日銀短観は以下のよ
うなものです。
①日銀が全国の企業約1万社を対象として、3
か月ごとに実施しているアンケート調査
②調査項目は、
(1)「企業が自社の業況や経済環境の現
状・先行きについてどうみているか」などの
項目(判断項目)
(2)「売上高や収益、設備投資額といった
事業計画の実績・予測値など」(年度計画)、
(3)物価見通し
(4)新卒者採用状況等々
③ ②(1)の「自社の業況」についての回答
から作る「業況判断DI」((注)DI=diffusi
on index)が最も注目されている
④「業況判断DI」は「自社の業況」につき
『良い』から『悪い』と答えた企業の構成比
(%)を引き算した数値
⑤景気が良いとプラス方向に、景気が悪くな
るとマイナス方向に振れる。
⑥このため、業況判断DIを3か月ごとにつな
いでグラフ化すると、景気の波が読み取れる。
短観は3カ月に1度、日銀が全国の約1万社に
景況感や収益見通し、設備投資計画などを聞
き取る調査で、
対象が幅広く速報性も高いことから、景気の
現状や先行きを読む材料として注目されてい
るものです。
前回2021年12月13日発表の短観時点では、全
規模・全産業の景況感を示す指数がプラスと
なり、
緊急事態宣言も解除されたことにより、今後
の景況感が上向くと予想されていました。
その後、年明けすぐにオミクロン株が急増し、
蔓延防止等重点措置が実施され、さらにウク
ライナ情勢が悪化など、
前回短観以降の3か月においては景気が上向
く要素がほとんどなく、景況感が悪化したの
は当然の事と言え、
2020年6月以来、7四半期ぶりの悪化となりま
した。
上記以外の悪化要因としては、
・資源価格の高騰による原材料費の増加懸念
・原材料費の高騰が販売価格へ転嫁出来てい
ない
・上記のインフレ懸念にプラスして、ドル円
レートの上昇
等、景況感悪化に繋がる事項が出そろってい
ます。
特に為替レートについては、全規模全産業の
2022年度の想定為替レートは1ドル=111円93
銭となっています。
4月上旬に一時125円を突破し、現在123円前
後にある点や、今後もアメリカの利上げが続
くことから、
ドル円は上昇または現状維持が継続すると予
想される状況です。
仮に想定を上回るペースでドル高円安が加速
すれば、調達コストの上昇を通じて企業収益
をさらに圧迫する懸念が強まる可能性があり
ます。