Column/コラム

「300万円以下は雑所得」の撤回が意味すること

「300万円以下は雑所得」の撤回が意味すること

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百五十回目。

テーマは、

「「300万円以下は雑所得」の撤回が意味すること」

です。

通達の改正案が出た当時は大きな話題になりました
が、個人が行う年間収入300万円以下のビジネス
であれば、税制上取扱いが不利になる雑所得として
課税するという国税庁の通達の改正案が撤回されま
した。

撤回された理由は、この改正案をパブリックコメン
トに掛けた結果、7千件超もの意見が寄せられてお
り、その中でこの300万円基準の不透明さや取扱
いのひどさを指摘する声が大きかったからです。

修正された改正通達について、全国紙の報道等では、
雑所得として課税するビジネスの基準として、収入
金額から「帳簿書類の保存」の有無で見ることにな
ったと説明されていました。

具体的には、相応の規模の事業でないと帳簿書類を
作成保存しないため、帳簿書類があれば規模が小さ
く事業とは言えない雑所得ではなく、税制上の優遇
もある、相応の規模がある事業所得になり得る、こ
のような説明がなされていました。

しかし、この報道は正確ではありません。実際の通
達を見てもらえば分かりますが、帳簿書類の保存が
なければ「原則として」雑所得にする、と書いてあ
るにすぎません。

このため、その逆に帳簿書類の保存があれば事業所
得になる、と解釈することは到底できません。

実際のところ、税務当局はこの改正通達について趣
旨を説明するため、その内容の解説を国税庁ホーム
ページで公開しています。

この解説においては、帳簿書類を保存していたとし
ても、

(1)営むビジネスの概ね過去3年間の収入金額が
300万円以下で、メインの収入の10%未満の場

(2)毎年赤字で赤字を解消するための努力をして
いない場合

には、雑所得として課税するということを明記して
います。

これらをご覧いただければと思いますが、サラリー
マンが行う副業のほとんどは、この(1)と(2)
のいずれかに当たります。

となると、この解説を前提とする限り、サラリーマ
ンが行う副業節税の大部分は事業所得にならず、雑
所得として否認されることになります。

そもそも、当初の通達の改正案は、サラリーマンの
副業節税をブロックするために、300万円以下と
いう収入基準を出したものでした。

この基準への批判が大きいために、通達の改正案を
大きく修正したことになっている訳ですが、その実
通達ではない「解説」を国税庁ホームページに人知
れずに公開することで、当初の目的を達成しようと
していると読めます。

結果、今後は通達でもない「解説」で税金を取られ
る場合も増えるでしょう。

法律でもない「通達」という税務当局の指示文書で
課税が行われている現実に対しては、大きな批判が
あります。

しかし、今後は通達ですらない、国税庁の「解説」
で課税が行われる可能性も生じます。

日本国憲法には、税金を課税する場合には法律で定
めるべきと明記されていますが、残念ながら日本国
憲法は税の世界では守られないことも多いようです。