Column/コラム

問だらけの動画費用の取扱い

問だらけの動画費用の取扱い

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百四十九回目。

テーマは、

「問だらけの動画費用の取扱い」

です。

youtuberが人気の職業になるなど、動画配
信事業を行う方も増えており、一般企業も動画配信
を使った販売促進活動を行うことは今では普通にな
っています。

その反面、動画配信に係る費用の取扱いは税務上不
透明であり、多くの疑義があります。

現状、参考になる唯一の見解と思われるのは、とあ
る専門雑誌のコラムの記述です。

このコラムにおいては、PRに使う動画の制作費用
に関する取扱いが述べられており、その費用は原則
として広告宣伝費として一括で費用処理することが
できるとされています。

しかし、その一方で、複数年使う動画であれば、そ
の使用可能期間に応じて少しずつ費用処理するべき
といった記述もなされており、どっちつかずの結論
になっています。

言うまでもなく、youtubeなどにアップした
動画は、半永久的に使えるものです。広告効果を高
めるなら、別途リスティング費用をかけて目立たせ
るようなことも必要になります。

しかし、使用可能期間はいつまでも、としか言いようがありません。

そうなると、動画作成費用は一括で広告宣伝費とし
て処理できないことはもちろん、いつまでも使用可
能なので経費にすること自体難しいのではないか、
といった指摘がなされることもあります。

更に困ったことに、動画制作費用は非常に高額にな
りますから、取扱いを誤ると後日多額の税金が課税
されることになります。

このため、税務当局は早急に明確なルールを公開す
るべきと考えますが、動画が一般的になった現在に
おいても、未だに明確な見解は見られません。

非常に困りますが、ルールが明確にされず、かつ使
用可能期間も何年か分からない以上、一括で費用と
して処理せざるを得ないように考えています。

少し脱線しますが、この動画配信費用のように法律
を読んでも取扱いが分からない部分は、その金額が
大きければすべからく税務署の確認を取っておくべきです。

税務署の確認をもらっても絶対にOK、という訳で
はありませんが、税務調査の交渉材料になりますし、
場合によっては税務調査のペナルティーである加算
税も減免されます。

このため、電話で言質を取るくらいでいいので、積
極的に税務署を活用するべきです。

話は多少変わりますが、動画の編集を個人事業主に
依頼する場合に支払う報酬について、源泉所得税の
対象になるかもよく問題になります。

インターネットでは見解が分かれているようですが、
これについては法律の規定などを前提とする限り、
課税対象にならないと考えられます。

とはいえ、この編集費用も含めて、現状問題になっ
ている動画配信の費用は、動画配信がない時代に作
られた法律を前提に考えざるを得ず、不透明な部分
が多くあります。

早めに税務当局は見解を公表すべきでしょう。