キャバクラキャストはやはり給与としか言いようがない
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第四百四十六回目。
テーマは、
「キャバクラキャストはやはり給与としか言いよう
がない」
です。
税務調査では人に対する支払いについて、税務上不
利な給与になるか、それとも有利な外注費になるか
が往々にして問題になります。
中でも、キャバクラキャストに対する支払いは税理
士の中では議論の対象になっており、実務では外注
費として処理することが多い反面、判例などを検討
すると、むしろ給与になることが近いように考えら
れています。
給与になるか外注費になるか、その判断はシンプル
に言えば、給与であれば雇い主に拘束される側面が
多く、外注費であればそうではない、と説明されま
す。
ここでいう「拘束」ですが、時間的に拘束されたり
(勤務時間が雇い主に決められている)、空間的に拘
束されたり(勤務場所が決められている)する程度
で見る、と言われます。
しかし、建設業などを考えていただければわかりま
すが、外注先に対しても勤務時間や勤務場所を元請
が指定することはよくありますので、給与と外注費
の差はよく分かりません。
とは言え、キャバクラキャストは働く時間も働く場
所も事前に決められていますから、むしろその報酬
は給与に近いと言われます。
しかし、実務においてキャバクラキャストへの支払
いは外注費として処理することが圧倒的に多く、か
つ税務調査で是正されることは多くありません。
この理由は、給与と外注費の区分は税務署にとって
も難しいため、仕事をしたくない税務職員は敢えて
是正しないで放置することも多いからです。
こういう訳で、本来給与となるはずのキャバクラキ
ャストの報酬を、実務では外注費としていることが
多い訳ですが、先日給与と判断された裁判例があり
ます。
ここでは、給与となる根拠として、「本件各キャスト
は、客から直接代金の支払を受けることはなく、売
掛金の回収のリスクを負担することもない」からと
判断されています。
前述したとおり、給与と外注費の区分は「拘束」で
見るとされていますが、この判決は「拘束」という
要件以外に、「売掛金の回収リスク」という要件も考
慮しており、新しい判断がなされていると言えます。
このような判断がなされたのは、外注ということは
フリーランスであり、フリーランスである以上、売
上の回収にも責任をもって当たり前、ということだ
と考えられます。
しかし、キャバクラキャストが顧客から直接キャバ
クラ店の売上を回収する、ということはほどんどな
いと思います。
売上を持ち逃げされるリスクもありますから、キャ
バクラ店としても売上代金の回収は店側で行わない
と困るでしょう。
このような判断を前提とすると、キャバクラキャス
トへの報酬は外注費として処理することは非常に大
きなリスクがある、ということになります。
とりわけ、インボイス制度もスタートし、外注費と
するのであればキャバクラキャストから請求書を出
してもらう必要もありますので、より厳しい判断が
なされるケースが増えると想定されます。