Column/コラム

e-Taxの不都合による延長の矛盾

e-Taxの不都合による延長の矛盾

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百三十回目。

テーマは、

「e-Taxの不都合による延長の矛盾」

です。

前々回の確定申告の際に問題になりましたが、確定
申告期限が迫る3月14日、e-Taxの接続障害
が生じました。

当時を振り返りますと、本来の確定申告期限は翌日
の3月15日ですから、多くの税理士はSNSでこ
の苦境を訴えていました。

これらの声を耳にしたからか、当時の申告期限であ
る3月15日、国税当局はe-Taxの不都合によ
る延長を認めるとしました。

具体的には、「e-Taxの障害による申告・納付期
限延長申請」と申告書の余白に記載して申告すれば、
期限が延長されることとなりました。

当時は一安心したものですが、この余白に記載すれ
ば延長が認められるという点、何かご記憶がある方
もいらっしゃるも知れません。

長きに及んだ、コロナ禍の申告期限の延長と同一の
手続きと同様の簡単な手続きです。

コロナ延長は個別指定に基づく延長とされていまし
たので、国税当局はこの接続障害による期限延長の
ついても、個別指定に基づく延長と整理していたよ
うです。

専門用語が出てきましたので補足しますが、申告期
限の延長といっても、法律的には大きく3つに分か
れます。

一つは国税庁長官が職権で行う地域指定と言われる
ものです。これは、特定の地域に甚大な災害が生じ
た場合に認められるものです。

具体的には、災害のため申告などできないその地域
を国税庁長官が指定した上で、その地域の納税者に
対し、期日を指定して期限を延長されます。

2つめは個別指定で、期限内に申告などができない
原因が個別的な事情である場合に認められるもので
す。

原因が個別的ですから、その原因について個別に税
務署に申請して内容を見てもらい、期限延長すべき
と税務署から判断されれば延長が認められます。

コロナ禍による申告期限の延長はこの個別指定によ
るもとのされており、本来は申請書の提出が必要で
す。

しかし、一定の期限については、申請書の提出をす
るのではなく、申告書の余白に延長の旨を記載する
だけで延長できるという、簡便的な処理が認められ
ていました。

それだけ、コロナ禍の影響が大きかったと言えます。

3つめは、対象者指定と言われるもので、これはま
さにe-Taxの不具合を想定して作られたもので
す。

e-Taxの影響は地域にそもそも関係ないため地
域指定の対象にはなりません。

個別指定についても、e-Taxは対象者が多いた
め個別の申請にもそぐわないものです。

これらを踏まえ、税制改正でe-Taxの不具合に
ついても延長を認められるようにしたのが、この対
象者指定なのです。

対象者指定については、国税庁長官が職権で認める
ものとされ、その場合には対象者の範囲や、延長さ
れる期日を指定することになっています。

以上を踏まえると、当時のe-Taxの不具合も、
まさに対象者指定を行うべきであったのに、どうい
う訳か個別指定になっていました。

この理由は定かではありませんが、対象者指定によ
ると、対象者を指定するなど国税当局に負担がかか
ることや、接続障害がまさに申告期限の直前に生じ
たため、指定する時間的余裕がないことを踏まえた
のかもしれません。

しかし、法律的には妥当な処理とは言えないため、
いろいろな問題が生じました(以下次回)。

追伸、

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