Column/コラム

節税スキームの制限の是非

節税スキームの制限の是非

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百二十七回目。

テーマは、

「節税スキームの制限の是非」

です。

一昨年の税制改正ですが、令和4年度改正において
は、資産の貸付けが主要な事業である場合を除き、
貸付用資産について、取得価額が10万未満の即時
償却や、20万円未満の3年償却が認められないこ
とになりました。

この改正は、富裕層が節税で活用している、足場レ
ンタルやドローンレンタルのスキームを防止するた
めのものです。

具体的には、1本あたり10万未満の足場や1個当
たり10万未満のドローンを大量に購入することで、
即時償却の適用を受けて購入年度に多額の損失を計上し、
その損失とその年度黒字をぶつけることで節税を行う
というスキームです。

なお、足場にしてもドローンにしても、その後レン
タルして利用者から賃料をもらうことから、投資額
の回収も見込まれています。

年々節税スキームが制限されている中、唯一生き残
っていたと言っても過言ではないスキームでしたが、
それも制限される訳で、今後ますます節税は難しく
なると考えられます。

これだけ聞くと、非常に厳しいと思われますが、企
業の将来を踏まえるといい面もあり、今後節税はま
すます難しくなることもあり、前向きに捉えざるを
得ないと考えます。

というもの、このような節税スキームは非常に高額
な投資が必要になるからです。

仮に本スキームで節税をしようと思えば、会社の利
益に相当する額の足場やドローンを購入する必要が
ある訳で、その分会社の資金繰りを直撃することに
なります。

本来、このような資金は会社の成長のために投資す
べきお金であるのに、目先の税金を少なくすること
に使われるためその分会社の成長が阻害されること
になります。

多少論点は異なるのですが、この点相続税の節税で、
借金をしてアパートを建てるスキームをお考えいた
だくと、この問題がより分かりやすいと思います。

アパートを建てて相続税の節税したことはいいもの
の、その後賃借人がつかず資金が不足して借金が返
せなくなる、という事態が現状問題になっています。

すなわち、節税は非常にお金がかかるものなのです。

加えて、単に足場やドローン、そしてアパートなど
を買うお金だけでなく、このようなスキームをセッ
トアップする事業者に対する報酬や、その事業者に
対し税理士などが節税したいお客を紹介する紹介料
も発生します。

実際のところ、この紹介料で大きくなっている税理
士事務所も多くあります。

本来、会社の成長のためには、コストがかからずに
できる最低限の節税のみを行って、必要とされる巨
額の納税を行うことがベストです。

よく言われる話ですが、節税のために会社を犠牲に
することがないよう、この改正を機に税務戦略を考
え直す時期に来ていると考えられます。