Column/コラム

コベナンツが開示される方向へ

コベナンツが開示される方向へ

コベナンツが開示される方向へ

おはようございます。

金曜日を担当しています
セブンセンスグループ(SSG)
公認会計士の髙橋です。

金曜担当の私からは、

会計、経営、財務、税務、監査、
内部統制関連の基礎・Tips・ニュース等をお伝えします。

今回は、
金融庁が企業に対して新たにコベナンツの
開示要求を打ち出したことに関する記事が
ありましたのでご紹介します。

<財務制限条項の開示求める 金融庁方針、有報記載など>
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72848330Y3A710C2EE9000/
2023/7/19付日本経済新聞

引用、要約すると・・・、

・金融庁は企業に融資時の
財務制限条項 (コベナンツ)に関する
情報の開示を求める方針

・具体的な内容は企業の
有価証券報告書への記載などであるが、
銀行側からは反発の声が上がっている

・今後の焦点は、開示の範囲をどう定めるか

というもの。

コベナンツは、企業が融資や社債で
資金調達する際に課される制約です。

例えば、一般的には銀行が融資を行う際に
以下のような条件を設定することがあります。

1. 最低純資産比率の維持: 企業は一定の
純資産比率を保つことが求められます。
この比率を下回ると、
銀行はコベナンツに違反したとみなし、
返済を要求することができます。

2. 利益率の制約: 企業の利益率に
制限を設けることがあります。
例えば、銀行は利益率が一定の水準を
下回るとコベナンツに基づいて
返済を要求することがあります。

3. 資本支出の制約: 企業の資本支出に
制約を設けることがあります。
銀行は、企業が一定の投資計画を
実施しなければならないという
条件を設けることがあります。

4. 借入金の限度額: 企業が借入金の
限度額を超える融資を受けることを
制限される場合もあります。
銀行は、企業の借入金がある一定の水準を
超えると、追加の融資を行わないことを
条件とすることがあります。

これらのコベナンツは、
銀行が融資を行う際に企業と合意され、
契約書に明記されることととなります。

投資家にとっては、
融資契約のコベナンツが開示されれば
リスクの実態を把握しやすくなるため、
歓迎すべきこととなります。

またアメリカでは、
日本の臨時報告書にあたる書類において、
融資契約とコベナンツの内容を
明らかにする必要があるため、
海外の開示内容に近づくものとなります。

その一方で、銀行は反発をしています。

銀行が反発している理由は、
コベナンツの具体的な内容を開示することで、
競争上の不利益や情報漏洩のリスクを懸念しています。

特に、他の銀行や競合企業が
コベナンツの内容を知ることで、
企業に対する融資条件の優位性を
失う可能性があるため、
銀行側から反発の声が上がっているのです。

また、コベナンツの公表が必要という理由から、
企業に融資への抵抗感が広がりかねないという点も
反発している要因となっています。

いずれにせよ、今後企業はコベナンツの開示を
念頭においたファイナンスや企業経営が
求められることとなります。