Column/コラム

「給与認定を防ぐ」などと宣う契約書に一片の価値はない

「給与認定を防ぐ」などと宣う契約書に一片の価値はない

「給与認定を防ぐ」などと宣う契約書に一片の価値はない

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第四百一回目。

テーマは、

「「給与認定を防ぐ」などと宣う
契約書に一片の価値はない」です。

国税OBからすれば非常に違和感を
覚えるのですが、税務上問題になる
給与と外注費の区分について、
外注費としての契約書を用意すれば
税務調査で認められる、と考える税理士先生が
非常に多くいらっしゃいます。

税務上、給与より外注費の方が有利ですので、
給与になりそうな個人への支払いを
個人事業者に対する外注費とすることが
よく行われますが、
その判断は実質判断になる訳で、
契約書でどうにかなる問題ではありません。

ここでいう外注費としての契約書ですが、
何件か拝見しますと、
その内容は非常に露骨なものが多いです。

例えば、外注費の要件として
よく言われることとして、
その業務について他の第三者に仕事を
任せる(再委託)ことが可能であったり、
業務で必要になる道具や材料について、
支払者ではなく自己負担したりすることが
挙げられます。

困ったことに、これらの要件について
そのまま契約書の文言に書くだけで、
外注費として税務署から認められると
考えているようなのです。

本連載でもよく言いますが、
国税は実態を見るのであり、
契約書についてはあまり見ません。
正確には、国税に都合のいい内容が
書いてあれば見るのであり、
不利な内容が書いてあればそれを無視するのです。

外注費として認めさせるような内容が
書いてある契約書は当然後者ですから、
そもそも税務調査では無視されるのがオチです。

このあたり、
税務調査を行ってきた人間であれば
常識として理解しているのですが、
税務調査の経験がない自称税法研究者などが、
過去の裁判で示された基準を前提に、
こういう要件を満たす契約書なら問題ない
などと高らかに宣言するので困ります。

これも本連載でも指摘したことであり、
国税にいた人間なら常識ですが、
裁判と税務調査は全く別物です。

裁判官と違って法知識はなく、
かつ厳格でもない調査官は、
少々法律に違反していても税額が
大きく変わらないならその是正を
要求しません。

一方で、その逆で法律上問題なくても
多額の税金を取れる可能性があるなら
納税者や税理士にプレッシャーをかけて
超法規的な解釈で課税しようとします。

給与と外注費で税金は大きく変わりますから、
裁判例を前提に契約書を作っても、
調査官はそれを無視して何とか
税金を取ろうとするだけの話です。

こういう訳で、
このような無意味な契約書を作るよりも、
出来るだけ外注費と見られるような実態を整えたり、
税務調査で国税の追及をうまくかわす交渉術を
身に着けたりする方が、
外注費と認めさせる上でははるかに効果的です。

国税経験のない試験組の税理士は
このあたりの感覚はなかなか分かりませんが、
困ったことにそこに付け込んで、
「この契約書で給与外注の税務調査から
顧問先を守れます」などと、
高値でひな形を税理士に売りつける悪質な業者が
実際に存在しますから要注意です。