Column/コラム

買主の管理が必要になる

買主の管理が必要になる

買主の管理が必要になる

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百九十九回目。

テーマは、

「買主の管理が必要になる」

です。

令和5年度改正では、空き家の譲渡特例に関し
大きな要件緩和がなされました。

空き家の譲渡特例とは、一定の要件を満たす、
空き家になった被相続人の居宅やその敷地を
相続して売った場合、所定の要件を満たすことで
その譲渡所得から3千万円の控除ができるという
特例をいいます。

この特例は、現状、空き家が日本で大きな問題に
なっていますので、その解決策の一つとして平成
28年度改正で設けられました。

この特例の適用要件の一つとして、空き家を
売却する場合には、その譲渡時点で、
(1)空き家を改修するなどして耐震基準に
適合させたり、若しくは(2)売却時点までに
相続した空き家を取り壊してその敷地を
売却させたりする必要があるとされています。

このため、これらの要件を満たしていない
場合には売主が自腹を切って、適用要件に
合うように措置する必要があります。

こうなると、売主には大きな負担になりますので
買主に空き家の改修費用や解体費用を負担させた
上で売却すればいいと言われていましたが、
ここで問題になるのが売値の要件です。

実は、売却代金が1億円を超えると、この特例は
適用できないとされています。買主がこれらの
費用を負担した場合、その負担してもらった
費用も含めて1億円の判断がなされるとされて
いますので、1億円超となる適用を受けられない
こともあった模様です。

これらの点を踏まえ、令和6年1月1日以後は、
空き家を売却した翌年の2月15日までに、
耐震基準を満たしたり、空き家を解体したり
すれば、この特例の適用を受けることが
できるように改正されました。

現状は売却時に満たしていなければ空き家の
改修や解体を、翌年2月15日までに満たせば
いいことになりますので、空き家を売った後、
売主ではなく買主が改修したり解体したりする
ことが認められ、使いやすくなると説明されています。

なお、売った後に買主が費用負担するため、
負担してもらった費用については現状とは異なり
売却代金には含まれず、先の1億円超となる
問題も生じないと言われます。

これだけ聞くとありがたい改正と思われるかも
知れませんが、必ずしもそうではありません。
なぜなら、改修や解体は買主が行うからです。
このため、買主が翌年2月15日までに要件を
満たすためのこれらの処理を行っていなければ、
売主は何にも悪くないのに、空き家特例を
受けることはできないことになります。

言い換えれば、改正された後の特例を適用する
場合には、売主は買主の動向をチェックする
ことが必須になります。

この点、改修や解体を所定の期日までに買主が
行うこと、そして買主が要件を満たさない
場合には売主に賠償義務があることなどを契約で
取り交わすことは必須と考えています。

もちろん、契約だけでも心許ないですから、
買主の管理も適正に行う必要があります。