投資有価証券と営業投資有価証券の違い
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計、経営、財務、税
務、監査、内部統制関連の基礎・Tips・ニ
ュース等をお伝えします。
160回目の今回は営業投資有価証券について
お伝えします。
営業投資有価証券と聞いて、あまり聞きなれ
ないな、と思った方もいらっしゃるかもしれ
ません。
投資有価証券なら聞いたことあるぞ、と言う
方は多いかと思います。
では、営業投資有価証券とはどのようなもの
なのでしょうか。
結論から申し上げますと、営業投資有価証券
は投資有価証券と名称は似ていますが、内容
は異なるものとなり、
主に投資業を営む企業やベンチャーキャピタ
ル等において使用される勘定となります。
そもそも投資有価証券とは、短期間における
時価の変動により利益を得ることを目的とし
て保有する有価証券”以外”の有価証券で、
満期保有目的の債券や子会社株式・関連会社
株式、その他有価証券の事を言います。
これらの有価証券は固定資産に区分され、時
価のある有価証券については時価で評価され
ます。
また、時価のない有価証券については評価替
えをすることなく、取得原価で評価し、満期
保有目的の債券については、取得原価または
償却原価法で評価します。
これに対して営業投資有価証券とは、営業目
的で金融収益を得るために所有する有価証券
の事を言い、
上述の通り投資業を営んでいる企業や、ベン
チャーキャピタルの貸借対照表等で一般的に
用いられる勘定となります。
ベンチャーキャピタルのような投資業を営ん
でいる企業にとっては、
投資先からの配当や投資先の株式の売却によ
って収入を得ること自体が主な営業行為とな
るため、
投資先であるベンチャー企業の株式は、営業
資産を計上する流動資産の部の「営業投資有
価証券」に計上することとなるのです。
通常の製造業・販売業における商品が投資業
においては営業投資有価証券であると考えれ
ば、理解しやすいかと思います。
そのため、営業投資有価証券からの配当を受
け取った場合や営業投資有価証券を売却した
場合には、
その収益は営業外収益ではなく売上高の
項目として計上されることとなります。
また、営業投資有価証券を売却した場合には
その金額は純額ではなく総額で計上され、売
却原価が売上原価として計上されることとな
ります。
このように、投資有価証券と営業投資有価証
券は名称は似たものとなっていますが、その
概念は全く異なるものとなっている点にご留
意頂ければと思います。