Column/コラム

最高裁まで行って何をしたいのか

最高裁まで行って何をしたいのか

最高裁まで行って何をしたいのか

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百八十七回目。

テーマは、

「最高裁まで行って何をしたいのか」

です。

前回も解説した、マンション販売業者の消費税に
関するムゲンエステート事件ですが、納税者は
高裁で裁判を終了することとしたものの、国税は
最高裁まで争う意向にようです。本日2月9日は
最高裁で弁論も開かれると言われています。

裁判の場合、当事者となるのは「国税」ではなく
「国」ですが、本件では「国税」という組織の
在り方に大いに疑問が残りますので、敢えて
「国税」と表現します。

簡単にムゲンエステート事件を振り返りますと、
従来は納税者有利に消費税の条文を
解釈していた国税が、突如として納税者不利に
解釈を変え、多額の消費税を追徴したという
非道な課税がこの事件の背景にあります。

先の高裁判決では、従来の納税者有利の解釈が
法律的には誤りで、本来は納税者不利の解釈が
正しいとしながら、解釈を変えたという不手際が
国税にはあるので、過少申告のペナルティである
加算税を課税するのは違法である、といった
判断がなされています。

高裁判決の内容は至極まともなので、納税者は
これ以上国税と争わない意向を示したのですが、
国税は加算税を取れないとことについても
不満なようで、加算税を課税できるよう
最高裁で争うようです。

加算税は過少申告という「ミス」に対して
課税されるものですが、今回は納税者有利の
解釈をしていた「国税の指導」に従って過少申告
になったものですから、ミスではありませんので
加算税を課税するのは不当以外の何者でもありません。

こういう常識的な解釈が成り立つことを国税も
理解しているからこそ、偽証が許されない
司法の場で、国税は「解釈変更をした事実は
ありません」と偽ったり、解釈変更した証拠が
出されてどうしようもなくなると、
「税務雑誌などを見れば解釈変更は分かるから、
問題ない」と開き直ったりしているのです。

社会常識からすれば、加算税以外の追徴した
消費税本税についても納税者に返還すべきと
考えられますが、その本税部分の課税については
問題ないとされている訳で、これ以上何を
望むのかと言いたくなります。

おそらくですが、国税はムゲンエステート事件に
類似した強引な課税を何件も行っており、
それらについても裁判が係争していますので、
ムゲンエステート事件で加算税が取り消される
となると、他の事案でも加算税を返す必要が
生じる可能性があることを懸念していると考えられます。

若しくは、「誤った課税をしない」という国税の
権威をアピールしたいのでしょうか。
残念なことに、こんな権威はすでに失墜していますが。

このような悪質な上告は、社会通念としても
法解釈としても到底許されるものではないため、
最高裁では国税に厳しい判断がなされると予測しています。

あまりにも悪質ですから、最高裁が怒って本税も返せ、
と判断されないことを老婆心ながら祈るばかりです。