無断録音を証拠として用いることはできるか
おはようございます。
セブンセンス社会保険労務士法人の山崎岳彦です。
私からは、労務に関する最新情報や
お役立ち情報、事業主の皆様に
注意していただきたいことなどをお届けします。
今週のテーマは、
無断録音を証拠として用いることはできるか
についてです。
会社がハラスメントなどをした従業員や
あまりにも勤務態度が悪い従業員などに対して、
合意退職などの問題解決に向けた話し合いの
中で、その従業員には無断で録音することが
ありますが、この無断録音が裁判などの
証拠になるのかという問題があります。
会社側が従業員との間で退職の合意が得られ、
円満に解決したと思っていても、後日
その従業員が退職後に会社から不当に解雇され、
その解雇は無効だと主張することがあります。
合意退職であれば会社と従業員の労働契約は
退職日で終了しますが、裁判などで不当解雇と
判断されれば労働契約は終了していない
ことになりますので、会社は時効消滅している
部分を除き退職日まで遡って給与相当額を
支払わなければならないため、会社が
無断録音を証拠と使用することが考えられます。
この場合の紛争は民事事件になりますが、
民事訴訟の場合は著しく反社会的な手段を用いて
人の精神的肉体的自由を拘束する等の
人格権侵害を伴う方法を用いていない場合には、
証拠能力は否定されないとされています。
そのため、暴行や脅迫などの犯罪的な行為
によって録音したというような場合を除いて、
一般的には証拠として用いることはできます
ので、犯罪的な手段を使わずに録音し、その
紛争を解決するためだけに使用するのであれば
証拠として用いることができると考えらえます。
当事者間では、言った、言わないということも
起こりますので、客観的な事実の記録として
録音することも一つの方法かもしれません。
それでは、来週もよろしくお願いいたします。