Column/コラム

サンプルも見ない調査官

サンプルも見ない調査官

サンプルも見ない調査官

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百八十三回目。

テーマは、

「サンプルも見ない調査官」

です。

「税務署の調査官のレベルが低下した」
と言われる昨今ですが、その現状を如実に
表すこととして、調査官が税務調査中、
会社や税理士を暇にしていることがあります。

先日の税務調査も、調査官は帳簿や
請求書を見ているだけで税務調査を
した気になっているのか、担当した
調査官からは何も質問や指示を受けずに
ただただ暇な時間を過ごさせていただきました。

調査官は上司へ復命する際、さぞかし

「頑張ったけど何も問題みつかりませんでした。」

といった復命をして、事実を仮装した話を
しているのだろうと思います。

現職時代を振り返りますと、税務調査について、

「税務知識は要らないので一生懸命調査先の話を聞くこと」
「税理士に口出しさせないよういろいろと指示をすること」

この2つを確実に行うよう指示されていました。

このため、今の税務調査のように、帳簿や資料を
見る時間など私の現職自体にはほとんど
なかったと思いますが、国税組織の現状として、

税務調査実務を知らない人間が
ゴマすりと縁故で出世する

こともあって、正しい税務調査スキルを
伝えていないのが現在の国税の状況なのでしょう。

特に驚かされるのは、

納品書などのサンプルを要求しないこと

です。

例えば、売上について検討する場合売上の数字は
何らかの根拠資料を基に計上しています。その
根拠資料が銀行の預金通帳なら、預金に
振り込まれる金額を取引先に通知するため、
請求書などの資料を作成するはずです。

請求書を作るということは、納品事実が必要で
納品書も作るでしょう。

このように、根拠資料を遡っていくと、会社の
ミスや不正が明らかになっていきます。
となった場合、根拠資料について具体的な
イメージを持つため、話を聞きながら、
会社で作っている資料をサンプルとして
提示してもらうと都合がいい訳で、このことは
税務調査の基礎中の基礎として、現職時代には
直属の上司から何回も指導を受けました。

しかし、近年は調査官からサンプルを要求される
ことはありません。となると、そもそも拙い
調査官の知能では、会社の取引を十分に理解
できていないはずで、結果として見つけるべき
会社の不正取引などもその多くが見過ごされて
いると思われます。

現職時代には、

税務知識がないからこそ真摯に納税者の話を聞く

というスタンスの優秀な調査官が多かったですが、
度重なる国税の不祥事や税務調査手続き
法制化の影響などで、国税に対する批判が
高まっていることもあって、きちんと仕事を
しているという「体裁」を整えることだけに
フォーカスしているために、こんな不十分な
税務調査が行われると考えます。

このような問題提起をすると、国税が税務調査を
厳格化しようと考えて困るのではないか、と
いった見方をされる方もいらっしゃると思います。

しかし、国税の幹部職員は事なかれ主義なので、
現状に問題意識を持つことなどありません。
このため、今後もますます、ぬるま湯の
税務調査が増えると思いますので、
余裕をもって税務調査に対応しましょう。