Column/コラム

青色申告特別控除と書類の提出

青色申告特別控除と書類の提出

青色申告特別控除と書類の提出

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百七十七回目。

テーマは、

「青色申告特別控除と書類の提出」

です。

令和2年度の所得税の申告から、65万円の
控除額となる青色申告特別控除の要件として、
電子申告を行うことなどが要件とされました。

電子申告をするなどしなければ、
65万円の控除額は55万円に引き下げられると
されていますので、問題になっていることの
一つに、電子申告すべき範囲があります。

と言いますのも、現状の実務においては、
電子申告をする場合においても、電子申告に
対応していない明細書など一部の資料を
郵送して対応しています。

しかし、今後は郵送提出する資料の内容に
よっては、電子申告をしていないと捉えられ、
65万円控除が受けられことになるのではないか。
こんな疑問があります。

執筆時現在、国税庁からこの点について
明確な見解などは出ていませんが、
法律を読む限り、65万円控除を受けるために
電子申告すべき事項は、

1 貸借対照表及び損益計算書
2 不動産所得の金額、事業所得の金額又は
山林所得の金額の計算に関する明細書
3 純損失の金額の計算に関する明細書

とされています。

1については、現状も65万円控除を受ける場合
には必要な書類であり、電子送信していますので
問題ありません。

同様に、3についても、確定申告書の4表という
資料を意味していると考えられますので、
電子申告する場合に郵送で提出することは
まずありませんから、問題になることはないと言えます。

一方で、上記2はその範囲が広すぎるため
問題になります。とりわけ疑義が大きいのは、
減価償却に関する明細書です。

事業で使う固定資産については、法定耐用年数に
応じて減価償却することになりますが、その
固定資産の明細書は郵送提出することが多くあります。

減価償却に関する明細書は、申告書に添付する
損益計算書の中に記入欄がありますので、
そこに記載するのが通例です。

しかし、固定資産の数が多い場合には転記する
のが面倒ですし、記入欄が少なく記載しきれない
ので、「明細は別紙」とだけ記入して、
個別明細を税務署に郵送する、といった
処理を行うことが多いのです。

このような処理だと、電子申告される情報だけ
では減価償却の内訳や固定資産の明細が
分からないため、問題があると指摘されることも
あります。

しかし、所得税においては減価償却の明細を
添付する義務まで設けられていませんので、
仮にこのような処理を行っても、65万円控除を
否認されることはまずないと考えられます。

何より、調査官の感覚としては、
減価償却の明細は税務調査で確認できれば
問題ないと思っていますので、この点からも
問題になることはまずないと考えます。

ただし、30万円未満の資産に対する即時償却や、
設備投資減税などの特例を受ける場合には、
申告書にその旨を記載することが要件と
なっています。このため、これらの適用を
受ける場合には、郵送提出ではなく、その旨を
記載して電子申告すべきと考えます。