Column/コラム

早いだけの改正対応に意味は全くない

早いだけの改正対応に意味は全くない

早いだけの改正対応に意味は全くない

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百七十六回目。

テーマは、

「早いだけの改正対応に意味は全くない」

です。

現状、税理士が納税者に注意喚起している項目の一つに、

電子メールなどで請求書等をやり取りする
電子取引の電子保存の義務付け

が挙げられます。この改正により、手間と
時間とコストがかかる形で、電子データを
保存する義務が発生することになり、
従来よりはるかに大きな手間が
課せられることになりました。

この重大な改正ですが、これは令和6年1月から
スタートしますが、そもそもは令和3年度の
税制改正で創設されたものでした。

しかし、令和3年度改正が発表された当初、
「令和3年度改正は見るべき改正項目が少ない。」
このような声を聞きました。困ったことに、

・ どこよりも早い税制改正と題売ったブログを
作成し、多数のアクセスを集めたと自慢する
税理士系ブロガー

・ どこよりも早い税制改正と題売った
youtubeを公開する、登録者10万人超
の税理士系youtuber

・ 「税制改正は○○税理士」と言われ、多額の
講演報酬をもらっている税制改正の対価とされる
税理士向けセミナー講師

このすべてが、この電子保存の改正について、
全く解説をしていない状況でした。

繰り返しですが、電子保存する義務が
発生しますので、場合によっては、適正な記帳を
要件とする青色申告に抵触することになります。
このため、この改正に対しては、早急に適正な
対応を行う必要がありましたので、本来は
改正情報が出てからすぐに注意喚起すべき内容です。

しかし、上記のような影響力のある者が
全く解説をしておらず、去年の年末くらいから、
大変なことになるとわめきだしたのが
正直なところなのです。

このような状況になるのは、

「早い」というだけでお金を取れるのが税制改正

だからです。

先のような、早い税制改正を売りにする
ブロガー、youtuber、講師は、ろくに
改正内容を検討していません。

彼らがやっていることは税制調査会などの資料を
パクって、それを分かりやすくして解説する
やり方で、著作権侵害スレスレなことをやっているに過ぎません。

こういう訳で、私は至るところで
「早いだけの改正情報に意味はない」と
申し上げているところですが、税制改正の情報を
早く掴みたいと思うものでしょう。

このようにお考えの方に申し上げたいのですが、
誰もが知る大手税理士法人様は、改正大綱の
翌日くらいには、無料で分かりやすい
税制改正情報をホームページで提供しています。

クオリティー的にも、上記のような者の
コンテンツとは比較にならない分かりやすい内容です

いずれにしても、税制改正についてろくに
検討していないのに、それを売り物にして
お金を取ろうとしたり、アクセスを
稼ごうとしたりする素人税理士が実は数多くいます。

とりわけ悪質な業者としては、
「どこよりも早くかつ分かりやすい改正テキスト」
などを売りにして、年内に高値で販売する会社も
ありますが、そのクオリティーは上記と大差はありません。

早くかつ無料で質の高い情報が
手に入る訳ですから、こんなテキストを購入する実益は
全くないので注意してください。