Column/コラム

飲み会の減少と国税の不祥事増加に関連性はない

飲み会の減少と国税の不祥事増加に関連性はない

飲み会の減少と国税の不祥事増加に関連性はない

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百七十一回目。

テーマは、

「飲み会の減少と国税の不祥事増加に関連性はない」

です。

持続化給付金詐欺で元職員が逮捕されるなど、
国税職員の不祥事が最近多いですが、
コロナ禍前に比して、件数はもちろん、悪質性も
大きくアップしています。

先の通り持続化給付金の詐欺に加担したり、
不正に消費税の還付申告をしたり、
大麻を栽培したりと、明確な犯罪行為に
手を染めている訳で、国税の上層部が
責任を逃れるときに使う、「極めて遺憾」では
対処できない状況になっています。

このような不祥事の悪化の原因について、
コロナ禍前にとある全国紙に国税の幹部職員に
対して取材した内容として、コロナ禍で飲み会を
実施できないから、と述べられていました。

コロナ禍前は飲み会で上司が部下職員の悩みを
聞くなどしてメンタル面もサポートできたのに、
それができないために上司の目が届かず、
結果として不祥事が見過ごされているというのです。

全国紙なので、もう少しきちんとした取材を
するべきと思うのですが、全くの筋違いの内容です。
私の現職時代を振り返りますと、上司が
部下のサポートをするために飲み会を開く、
ということはほとんどありませんでした。

国税の飲み会は、基本的には幹部職員に対する
ボヤキとか、酒を飲んで気持ちよくなりたいとか、
このような目的をもって上司や先輩職員を
気持ちよくさせるためのものです。このため、
親身になって部下の話を聞く、ということは
国税の飲み会ではほとんどなく、基本的には
先輩や上司に対する接待の一環で行われます。

このような接待が目的ですから、むしろ飲み会で
体を壊す職員も多かった、と記憶しています。
残念なことに、この接待が人事評価に大きな影響
を与えますので、お酒が得意でない職員も、
それに参加しない訳にはいきません。

結果として、健全な職員にとってみれば、
飲み会が少なくなることはむしろ
好ましい話であり、最近報道されるような
悪質性の高い不祥事の原因に、
コロナ禍による飲み会の不足は全く関係ない
と考えられます。

そもそも、国税の幹部職員は人事管理といった
仕事が嫌いですし、ろくな勉強をしていないため
コンプライアンス意識も乏しいことが多い
ですから、基本的に部下職員を監督していません。

しかし、コロナ禍により、在宅勤務などを
認めざるを得ない状況になりましたから、
より目が届かなくなったため、このような
悪質性の高い不祥事が増えたというのが
正しい理解でしょう。

加えて、在宅勤務も導入して、職員の
自由な時間ができたことも大きな理由でしょう。
暇な時間を活用してお金を稼ぎたい、と
思うのが人情ですから、「在宅勤務」している
ふりをして、お金になる「犯罪行為」に
手を染める職員が増えたと解されます。

いずれにしても、国税の不祥事は今後も
止まることはないでしょう。残念なことに、
国税組織にこれを適正に監督する力はありません。
国税組織の言い訳に騙されず、税務行政に対して
厳しい目を向けるべきと考えます。