Column/コラム

配偶者の名義の財産と管理運用状況

配偶者の名義の財産と管理運用状況

配偶者の名義の財産と管理運用状況

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百六十九回目。

テーマは、

「配偶者の名義の財産と管理運用状況」

です。

相続税の税務調査では、
名義預金が問題になります。

家族名義の預金口座であっても、
被相続人の口座と同視できる場合には、
被相続人の財産として
相続財産に含める必要があります。

名義預金に該当するかどうかは、

預金の出捐は誰か(出捐者)
預金の管理は誰が行っていたか(管理運用状況)
利息を受け取る者は誰か

そして

生前贈与があったのか

といったポイントを総合的に見て
判断することになります。

実務では、これらの要因の中でも、
特に出捐者と生前贈与、
そして管理運用状況が重視される傾向があります。

前者については、被相続人が
お金を出していれば、
名義人に対して生前贈与をした
事実関係がない限り、
理論上名義財産に該当します。

このため、生前贈与をするのであれば、
贈与契約書を作成しておくことが
重要と言われます。

後者については、名義財産の典型は
被相続人が親族の名前を使って開設した預金で、
その管理を被相続人が自分で行っている場合です。

このため、名義人が預金を管理せず、
被相続人が管理していれば
原則名義預金となります。

ここでいう管理ですが、
脱ハンコという流れなので
今後は変わるかもしれませんが、
現状は預金に係る銀行印の管理を誰が
行っていたかが重視されます。

このため、名義預金に該当するとされる
税務調査に対しては、これらの点から
反論をしていく必要があるのですが、
出捐者や生前贈与については、
なかなか反論が難しいです。

出捐したタイミングはかなり前で
当時の記録がないとか、
生前贈与したはずだけど
贈与契約書を作っておらず、かつ
基礎控除以下だったので
贈与税の申告もしていない、
といったことが実務では散見されるからです。

相続税の調査に備えて記録を
残しておく必要があるとよく言われますが、
実務ではこのような記録がない方が
むしろ一般的です。

こういう訳で、多くのケースでは
管理運用状況で反論することが
多いという印象があります。

相続開始の直前までの運用状況が問われるので、
記録や記憶に乏しい、
といったことはあまりないので、
本当に名義人が管理していれば、
その旨主張して反論できます。

ただし、一点注意が必要です。

それは、預金の名義人が
被相続人の配偶者である場合、
配偶者が管理運用していたとしても、
被相続人の名義財産にならないという
反論の決め手にはならないということです。

判例でも明示されていますが、
夫婦間では、夫の預金を妻が管理することは
不自然ではないとされているからです。

このため、配偶者名義の預金に対しては、
管理運用状況以外の反論を
用意しなければなりません。