Column/コラム

貸倒引当金戻入の表示区分

貸倒引当金戻入の表示区分

貸倒引当金戻入の表示区分

おはようございます。

金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。

金曜担当の私からは、企業会計、経営・財務、
税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等を
お伝えします。

133回目の今回は貸倒引当金戻入の表示区分
についてお伝えします。

結論としましては、営業費用または営業外費
用のマイナスか、営業外収益として計上する
ことになるのですが、

この論点は古典的な話のようで誤って覚えて
いる方もいらっしゃる論点となります。

債権に対して引き当てた貸倒引当金について、
引き当てた金額ほど貸倒れが無かった場合に、

貸倒引当金戻入が利益方向に計上されますが、
その貸倒引当金戻入は損益計算書のどの区分
に計上すべきかという論点になります。

「特別利益でしょ。簿記の勉強でそう習った
もん」

という方もいらっしゃるかと思います。

平成23年より前に簿記を勉強された方の中に
は、上記のように簿記の授業やテキストで特
別利益に計上する、

と学習し、そのように覚えてらっしゃる方も
いるかと思います。

確かに、平成23年より前までは特別利益に計
上するというルールでした。

考え方としては、貸倒れると想定して前期以
前に計上した貸倒引当金の額よりも、実際に
貸倒れた額が小さかったため、

前期以前の見積額の修正となり、当時の過年
度損益修正損益と同様の区分である特別損益
に計上するという考え方でした。

しかし、平成23年に「企業会計基準第24号
会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基
準」(いわゆる過年度遡及会計基準)が施行
されたことにより、

上記の取り扱いに変更が生じました。

過年度遡及基準の施行により、過年度修正に
関連する損益は特別損益項目に計上されるこ
とはなくなりました。

そのため、貸倒引当金戻入についても、特別
損益項目として計上はされなくなったのです。

過年度遡及会計基準においては、「過去の財
務諸表作成時において入手可能な情報に基づ
き最善の見積りを行った場合には、

当期中における状況の変化により会計上の見
積りの変更を行ったときの差額、又は実績が
確定したときの見積金額との差額は、

その変更のあった期、又は実績が確定した期
に、その性質により、営業損益又は営業外損
益として認識する。」とあります。

そのため、過去の見積と実績との差額である
貸倒引当金戻入については、

営業損益(貸倒引当金繰入額のマイナス)、
又は営業外収益として計上することになるの
です。