Column/コラム

「贈与」と「贈与したつもり」の違いに御用心!?

「贈与」と「贈与したつもり」の違いに御用心!?

「贈与」と「贈与したつもり」の違いに御用心!?

おはようございます!
セブンセンスグループ(SSG)の徐です。 

継続は力なり!

最近ポッコリ出てきたお腹を見てつくづく
この言葉の意味を実感しています。

そりゃ毎日飲んでりゃこれくらい立派に
育つよな~、と…笑

ということで、継続することの大切さは
勿論なのですが、私のように継続する中身
や方法を間違えては元も子もありません…。

例えば、相続税対策の現場では相続財産を
減らすために生前贈与が行われることが多い
のですが、

【贈与】と【贈与したつもり】とでは、

当たり前ですが違いますし、将来の結果も
大きく異なります。。。

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民法第549条では、贈与について以下のように
定めています。

「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で
 相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾
 をすることによって、その効力を生ずる。」

贈与者が「贈与するよ」と意思表示をし、
受贈者が「もらったよ」と受諾すれば、

贈与が成立する!と書いてあります。

さて、皆さんよくご存じのとおり贈与税の
基礎控除額は現在は110万円/年。

その昔、60万円/年の時代だった時のこと。
Aさんは税理士からアドバイスを受けました。

「将来の相続税対策のために、お子様に
 毎年継続して贈与しましょう!」

「お子様は4人ですから1人年60万円×4人で
 年間240万円を贈与することができます!」

Aさんはこの提案を受け、カワイイ子供達の
預金口座を作り、毎年60万円づつ継続して
この口座に現金を移動させていきました。

子供達は親から「毎年60万円ずつあげるよ!」
と聞かされていました。

1人60万円/年の贈与は基礎控除の範囲内です
から、モチロン贈与税はゼロ。
子供達(受贈者)は贈与税申告もしません。

それからおよそ20年後、Aさんは亡くなりました。

地道な贈与を継続した結果、子名義の預金残高
は1人1000万円、4人で総額4000万円になりました。

親のおかげで相続税が安く済んだ!と油断して
いたのも束の間、税務署からツッコミが入ります。

「この4000万円の預貯金はアナタ達の親の財産
 として相続税を課税します!!」

「え~!?なんで???」

預金の名義人は子です。

親は毎年自分の口座からきちんと子名義の口座へ
お金を振り込んでいました。

親は子へ「毎年贈与する!」と言い、子もそれを
当然に認識していました。

しかし、税務署はこの預金は子の財産ではなく、
親の財産だとして相続税の課税処分をしました。

この事案は裁判まで争い、以下の判決です。

「(預金の)管理、運営及び払戻しについては、
 すべて自ら(父)の判断で行っていたもので
 あり、一方、子はその名義が使用されたほか
 は預金の形成、管理、運営又は使用に関与
 することはなかったのであって、かかる場合、
 この預金は親の財産であって、子の財産では
 なかった。」

(名古屋地裁平成2年3月30日判決)

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あげる! もらう!

と意思表示しても、通帳を親が勝手に作り、
そこへ自分の口座から毎年預金を移していた
だけでは【贈与】ではないのです。

基礎控除の範囲内だから、と油断しては
いけません。

さらに、子名義の預金通帳や印鑑などを
子自身がきちんと管理し自由にできる状態
にしておかなければなりません。

ところで、税務にはこんな通達もあります。

相続税基本通達9-9(財産の名義変更があった場合)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/06.htm#a-9_9

「不動産、株式等の名義の変更があった
 場合において…他の者の名義で新たに
 不動産、株式等を取得した場合…は、
 原則として贈与として取り扱う…。」

つまり、不動産や株式であれば、名義さえ
変更されれば原則として贈与です。

登記簿が変わった、株式名簿が変わった、
これで贈与があったとみなされます。

しかし、預貯金は違います。

形式的事実である名義だけでは贈与とは
されず、通帳や印鑑の保管・管理状況など
の諸事情から総合的に贈与の事実が判断
されるのです。

さあ、どうでしょうか?

親が子名義でコツコツと預金している
ケースはけっこう多いものです。

さらに、年110万円なら贈与税基礎控除
の範囲内だから大丈夫と思うでしょう。

「ちゃんと贈与を受けました!」
「通帳や印鑑は自分で管理しています!」

さらに、

「契約書もホレこのとおり!」

これで完璧です!!

え?

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