Column/コラム

居住用財産の特例は公共料金を確認すべき

居住用財産の特例は公共料金を確認すべき

居住用財産の特例は公共料金を確認すべき

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百六十四回目。

テーマは、

「居住用財産の特例は公共料金を確認すべき」

です。

自宅を売却したような場合には、居住用財産の
譲渡所得の特例の適用を受けることができます。

ただし、この特例は、譲渡した建物に
「居住」していたことが要件になります。

このため、複数マンションを持っていたとしても、
居住していないマンションについては、
居住用財産には該当しませんので、
この特例の適用を受けることはできません。

このため、特例の適用を受けた場合、
その後の税務調査においては、「居住」していたか
どうかが問題となります。

この判断は、家屋の入居目的、その家屋の
構造および設備の状況等の諸事情を総合的に
見て行う、とされていますが、実際のところは

譲渡した家屋におけるガスや水道、
そして電気の使用実績の検討

が重視されます。

居住していればこれらのこれらについては
相応の使用実績があるはずですから、その
実績が乏しいとなれば、居住していた家屋には
該当しないとして、特例を否認されることになります。

このため、居住用財産の譲渡所得の特例の
適用を考えるのであれば、確実に譲渡した家屋の
公共料金の請求書などを確認した上で、
ガス・水道・電気の使用実績が少なくないか
チェックをしなければならないと言えます。

しかし、会計事務所の実務上、公共料金の
検討を行うことは多くないという印象があります。

実際のところ、

「住民票を移しておけば問題ない」

という理解の職員の方も多く、住民票の
確認で済ますことも多いと感じています。

言うまでもないことですが、住民票があるから
と言って、そこに居住しているとは限りません。
税務上、よくある例が所得税を削減するための
海外移住です。海外移住すれば日本の
所得税を大きく削減できますので、
富裕層の海外移住は多くあります。

しかし、海外転出届を提出して住民票を
転出させただけでは、海外移住したと判断されず、
あくまでも実態として日本に住んでいるのか、
海外に住んでいるのかが検討されます。

海外移住した方でも、日本に住所がある
と国税が判断して所得税が追徴されることはよくあります。

このあたり、非常に常識的なところなのですが、
どういう訳か居住用財産の特例については
その実質判断が甘いと感じています。

毎月記帳するような法人税や事業所得の計算とは
異なり、譲渡所得は確定申告のタイミングでしか
計算しないため、居住していたかどうか、
その実態を確認するのが困難であるからなのでしょうか。

その他、居住用財産の特例については、
特例の適用を受ける目的で入居したと
認められる家屋や、別荘、仮住まいなど
一時的な目的で居住している家屋を
売却した場合には、対象にならないとされています。

これらの家屋の判断についても、当然ながら
実質判断になりますので、注意が必要です。