税務署の還付保留が更に長期化している
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第三百五十二回目。
テーマは、
「税務署の還付保留が更に長期化している」
です。
消費税の還付申告に対しては、原則として
いったん還付を保留して
国税が申告の内容を確認した上で、
問題がないと確認できた場合に
実際の還付が行われることになっています。
還付とは逆の納税の申告の場合、
申告期限内に納税が必要になりますので、
制度論としては申告と同時に還付がなされるべきです。
しかし、消費税については不正な還付申告が
行われることも多いため、判例において
この「還付保留」が認められています。
このため、消費税の還付が遅れても
国税を責めることは難しいですが、コロナ禍の
現在においては、還付保留される期間が
従来に比して異常に長いです。
遅くても通常は申告期限から3月程度で
還付されていたのに、3か月超経っているのに
還付がされないどころか還付の審査に必要な
資料についての連絡すらない、
といった状況なのです。
還付が遅くなっている原因として、
考えられる原因は大きく二つあります。
一つ目は、コロナ禍の混乱です。だいぶん
落ち着いてきたとは言え、コロナにはまだまだ
配慮せざるを得ない部分があり、結果として
国税の実務も大きく見直されたと解されます。
このため、還付の処理が後回しになっている
部分もあるのではないかと思われます。
もう一つは、本メルマガでも何度も指摘している
国税の能力低下です。国税の能力が落ちている
ため、還付していいかの判断が
なかなかつかなかったり、
そもそも段取り力もないのでスムーズに
仕事が進まなかったりしているのでしょう。
これに輪をかけて、近年は悪質な
消費税還付も増えていますから、より詳しく
チェックしなければならないというジレンマもあります。
とは言え、消費税が大きく増税された昨今、
消費税の還付金も巨額になり、会社の
資金繰りなどに消費税の還付金を当てにする
ことが多くなっています。一例として、先日、
国税が税務調査の追徴税額の回収を
阻害したとして、調査先に融資を行っていた
大手銀行を提訴した事件が挙げられます。
この調査先に大手銀行が融資した理由は、
その調査先が消費税の還付申告を行い、
還付金の収入が見込まれたからと言われています。
とりわけ、消費税の還付金については、
会社の経理方法によっては還付申告の
タイミングで収益に入れることが原則です。
となると、還付保留される場合には、
収益に計上して法人税は課税されているのに、
肝心の還付金は入ってこない、といった
事態も生じることがあります。
いずれにせよ、消費税の還付金は経営に
大きな影響がありますので、人材不足の国税には
荷が重すぎますが、できる限り処理を急ぐべきでしょう。