Column/コラム

敵(税務署)を欺くには味方(税理士)から!?

敵(税務署)を欺くには味方(税理士)から!?

敵(税務署)を欺くには味方(税理士)から!?

おはようございます!
セブンセンスグループ(SSG)の徐です。 

とりあえずの確定申告シーズンが終わり、
次は3月決算法人の申告シーズンを迎えます。

国税庁の統計資料によれば、日本の会社の
およそ20%弱が3月決算法人となっており、
すると決算・税務申告は5月です。

確定申告シーズンという最繁忙期を終え、
束の間の休息の後にもう一度最繁忙期が
訪れるというのが世の税理士事務所です…。

さて、今からおよそ20年ほど前…。

ワタシが税理士登録をした時に当時のボス
から言われた忘れられない言葉があります。

「おめでとう!
 今日から君はプロだからミスするな!」

この言葉には前提があることを私は後に
なって気づきました。

それは、「お客様との信頼関係」が成立
していることが前提だということです。

そこを素っ飛ばして単にビジネスとして
仕事をすると痛い目に遭うのです・・・

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こんな事件がありました…。

Yは、税務署勤務時代は長く資産税部門で
相続税を担当、退官後に税理士になりました。

ある日、Yは亡A氏の相続税申告業務を
受任しました。相続人にヒアリングをし、
相続財産の評価を行い、無事に(?)相続税の
申告業務を終えました。

が、実は・・・

Aは多額の海外資産を有していましたが、
税理士Yが作成した相続税申告書には
この海外資産の全てが漏れていました。

後日、税務調査が実施されてこの海外資産
の存在が明るみに出ます。課税漏れとなった
海外資産の総額はなんと3億5000万円…。

海外資産以外にも申告漏れの財産が見つかり、
締めて1億7000万円もの相続税が追徴課税。
相続税本税以外にも重加算税4500万円や
延滞税等が発生することとなりました。

相続人は税理士Yを損害賠償で訴えます。

■Aの相続人の主張

「海外資産については何も調べなくてよい
 と税理士Yから指示を受けました!」

■税理士Yの主張

「私は税理士として、申告に必要な資料を
 全て提出するように言いました!
 そもそも私が相続人らの相続税の隠ぺい
 に加担するメリットはありません!」

さて判決。

東京地裁は、税理士Yに対してなんと1億円
の損害賠償を認めました。

東京高裁では、「亡A氏の相続人は海外資産
の存在を認識していた」として3割の過失相殺
を認め、Y税理士に対して7000万円の損害賠償
を認める判決となりました。

「税理士Yは亡A氏が海外資産を保有する可能性
 が高いことを認識していながら、相続人に対し
 て適切な指示を行わないまま海外資産を除外し
 て申告書を作成提出…。一方で亡X氏の相続人
 は内容の詳細はともかく、亡A氏が海外資産を
 保有していることを知りながら…税理士Yに対
 してこの事実を伝えず…(東京高裁2013.1.24)」
 

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・・・・・・

私たち税理士にとっては非常に怖い判決です。

きっと税理士Yにとって亡A氏は初めましての
お客様だったのでしょう。

相手の事情も人柄もよく分からぬままに何億円
もの大きな相続案件を受任した結果がコレです。

ちなみにYが受領した税務申告報酬は370万円。

依頼者と良好なコミュニケーションが取れぬ
まま、海外資産がありそうだと感じながらも
確認を怠った結果、税理士Yは7000万円もの
損害賠償を食らう羽目になりました。

依頼者(相続人)は、相続税逃れを目的に事情
をよく知らない税理士に依頼して遺産隠し?

税理士は、飛び込み客からの370万円高額報酬に
目が眩んで知らない依頼者から業務を受注?

敵(税務署)を欺くには味方(税理士)から?

私たち税理士がプロとして仕事を全うするには、
お客様との信頼関係の構築が大前提であるという
ことを改めて認識させられる事件です。

そして、若かりし頃のワタシに大切なことを
キッチリと教えてくれたボスに感謝です!(^^)!

セブンセンスグループ(SSG)には、
税務・労務・法務はもちろん、相続や贈与、
遺言に関するプロが多数在籍しています。

いつでもご相談ください!!!

来週もお楽しみに!!