Column/コラム

『世界の所得税』-個人のCFC課税-

『世界の所得税』-個人のCFC課税-

『世界の所得税』-個人のCFC課税-

Topic『世界の所得税』-個人のCFC課税-

あまり、聞き慣れないCFC税制(Controlled Foreign Company)ですが、ほかに「タックスヘイブン対策税制」や「外国子会社合算税」と呼ばれる場合もあります。

また、CFC課税と言えば、法人を想定されるかもしれませんが、個人にもあることはあまり知られていません。
今回のメルマガではあまり知られていない個人のCFCについて触れたいと思います。
(※) 内国法人は(租税特別措置法第66条の6~9)に規定されており、個人居住者(同法第40条の4~6)に規定されています。

概要

内容ですが、日本居住者が、経済実体のない外国子会社(ペーパーカンパニー等)を利用しての税金回避を防止するために、ある条件に該当する外国子会社の所得を、日本居住者個人(株主)の雑所得とみなして合算して日本で課税する制度になります。
⇒つまり、海外法人の所得の一部が自分の個人所得とされてしまう。。
という、他の税制にはない珍しい制度なのです。

タックスヘイブン国とは

タックスヘイブンとは一般的には“税金天国”という意味で使われており、その地域や国の税負担が27%(改正前30%)未満のところです。

実例

日本居住者(個人株主)が、香港などの税率の低い国や無税の国などに経済実体のない子会社(ペーパーカンパニー等)を設立し、日本で発生するはずの所得が海外に移転することにより、日本の課税所得を減少する場合に適用され、日本の所得が軽減されることを防ぐことになります。

=最近の事例では、タックスヘイブンで知られる英領バージン諸島にネットジャパンの会長が100%の会社を設立し、自信が保有する親会社株式をこの法人に譲渡、その後その法人をM&A等した売却益に、個人のCFC課税が適用され66億円の申告漏れが指摘されました。=
(2019年5月13日日経新聞)

≪Case study≫
たとえば、日本居住者(個人株主)がタックスヘイブン国にペーパーカンパニー子会社を設立し、所得を移転した場合です。(下図を参照のこと)

日本の所得が200の場合、税金は60(税率30%設定)だったところ、タックスヘイブン国に子会社を設立して100を移転することで、税負担の合計が40になり税を20回避した結果となります。この場合に、CFC課税を適用することで、海外子会社の対象となる所得が日本居住者の雑所得に合算されて課税され、合計として60の税金になる仕組みです。

タックスヘイブン

※但し、実際にCFC課税の対象になる外国子会社の判定には多くの細かい要件がございます。
※令和5年の税制改正で税負担トリガー改正の他に一部要件が変更になっています。

国際課税の横断的なしくみについて

国際課税では、「CFC課税」のほかに「移転価格」「過少資本税制」「過大支払利子税制」などの各仕組があり、様々な方向から網羅的に、日本から過剰に所得が移転されるのを防ぐ制度が作られています。
親子間や親族間で海外商取引を行う場合は十分に検討することが必要です。

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★★★
さて、今週の2月24日でウクライナ侵攻が1年になろうとしています。。
そのような先月末に、ユネスコがウクライナの「黒海の真珠」と例えられる美しい歴史地区オデーサを、「卓越した普遍的価値」を認めて世界遺産、そしてこのままでは価値が損なわれる恐れがあるとして、同時に「世界危機遺産」に指定しました。

「黒海の真珠」と称されるオデーサは、昨年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、何度も空爆を受け、そして多くの人々が亡くなりました。
もし目に見えるものが、意味もなく戦火で消え去ってしまったとしても、お金では買うことができない人類の命や価値ある遺産は、永遠に残るのではないでしょうか。

≪The Odessa on Ukraine’s Black Sea coast, is designated 「a World Heritage」& 「a World Heritage in Danger site」 on Jan.24 by UNESCO panel≫
The Odessa on Ukraine’s Black Sea coast, is designated

昨年は、戦火が激化するウクライナやロシアから日本企業の多くが撤退を決断しました。
トヨタ自動車も2022/9月に撤退した1社で、豊田社長(前)は、従業員の安全のための苦渋の選択だったことを述懐しています。

ビジネスの海外進出は、税金の問題以上に、政治や宗教、民族、地政学などに大きく影響左右されることを改めて考えさせられました。
きっと、この1年を振り返ってみて、悲しみの上にある軍需ビジネスではなく、人類の平和の上の未来につながるビジネスが成り立ってほしいと、誰もが思い願っているのではないでしょうか。
★★★

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