「節税目的はありません」では戦えないからこそや るべきこと
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第四百三十八回目。
テーマは、
「「節税目的はありません」では戦えないからこそや
るべきこと」
です。
とある税務雑誌で紹介されていましたが、税務署が
さじ加減で相続税の節税を否認できるという、総則
6項が適用されるか否かで争われた事例があるよう
です。
こちらの事件は、最高裁が受理しなかったようです
が、その高裁判決では、銀行員と相続税の節税につ
いて相談したことが書かれた、「顧客訪問録」が問題
になりました。
最高裁で争われた事例では、銀行の稟議書に相続税
の節税目的で借り入れることが問題視されました。
しかし、今度は顧客訪問録が判決の基礎になってい
るようで、細かく記録を残す銀行との付き合いをど
うするかが、今後の税務対策ではますます重要にな
ってきます。
とはいえ、総則6項は「評価額」が「著しく不適当」
の場合に国税庁長官が自由に評価できるという規定
です。
にもかかわらず、節税目的などの「目的」が税務署
にとって「著しく不適当」の場合に自由に評価でき
る、というのは明らかに問題がある判断です。
このような判断が出るので、節税目的ではないビジ
ネスの目的があれば相続税の節税スキームを税務署
が問題視することはない、などとこれまた誤った解
釈を拡散する自称専門家が多数生まれることになり
ます。
本連載でも指摘しましたが、税務署から否認される
節税と否認されない節税の境界線は、「節税額」とい
う単純な基準以外にはありません。
節税額が小さければ、それが合法であれば、まず問
題になりませんが、節税額が大きければ合法であっ
ても税務署は必ず問題視します。
このため、節税以外の目的があるとか、その目的を
疎明するエビデンス(自分に都合のいいように作っ
た安直なものがほとんどですが)があるとしても、
あまり意味ないので安心してはいけません。
節税額が数千万円を超えるようなケースはどれだけ
法律的なガードを持っていても、リスクがあります。
このため、例えば国税当局に対して圧力を使える元
税務署長等の経験者の税理士を用心棒として雇った
り、国税OBが飯の種を稼ぐために公開している、
税務調査をかわすノウハウを勉強したりするなど、
闘うことを前提に節税しなければなりません。
多額の節税スキームには法律知識が必要不可欠です
ので、頭の切れるコンサルが提案することが多いで
すが、税務調査は交渉力で決まります。
なお、総則6項は税務調査でけしからんとされた結
果適用されますので、多額の節税をした場合には、
申告した後すぐに海外に拠点を移す、ということも
検討すべきでしょう。
税法の仕組みとしては海外資産に対する課税も厳し
くなっていますが、税務調査は納税者が国内にいる
かどうかでやりやすさが全く違います。
となると、海外にいるだけで税務調査対策はやりや
すくなります。
節税を否認できるという総則六項はフェイクニュー
スと誤解に溢れています。しかし、司法の救済は期
待できません。
だからこそ、理論や理屈ではなく、交渉力やテクニ
ックで逃げる方法を考える必要があります。