日産の格下げが投機的水準に
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計、経営、財務、税
務、監査、内部統制関連の基礎・Tips・ニ
ュース等をお伝えします。
155回目の今回は日産の格付けが引き下げら
れたという記事がありましたのでご紹介しま
す。
<日産を格下げ、投機的水準に S&P「収益回復に遅れ」>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0791U0X00C23A3000000/
2023年3月8日 日経電子版
引用、要約すると・・・
・格付け会社S&Pグローバル・レーティング
は日産自動車の長期発行体格付けを、「トリ
プルBマイナス」から投機的水準となる「ダ
ブルBプラス」に1段階引き下げたと発表した
・日産の格付けが投機的水準にまで下がるの
は2002年以来
・半導体不足の長期化などにより収益回復が
想定以上に遅れていると判断した
というもの。
そもそも、S&Pの格付けとはどのようなもの
なのでしょうか。
S&Pの格付けとは、S&Pグローバル・レーティ
ングが、国や企業などの債務返済能力を記号
で示したものです。
債務返済能力とは、借入等をした際に、その
利息や元本を払えるかどうかを表す指標とな
ります。
S&Pの格付けは、AAAからDまでの22段階に分
かれており、AAAが最も信用度が高く、Dが最
も信用度が低いことを意味し、
投資家や政策決定者にとって重要な情報源と
なっています。
例えば、国債格付けは、その国が発行する国
債の価値やリスクを判断する際に参考にされ、
企業格付けは、その企業が発行する株式や社
債の魅力や安全性を評価する際に活用されま
す。
S&Pの格付けは、定期的に見直されることが
あり、その理由は様々ですが、主なものとし
ては経済状況や財政状況の変化、政治的な不
安定さや危機的事態などが挙げられます。
見直しによって格付けが上昇したり下降した
りすることで、その国や企業への投資意欲や
信頼感に影響を与える可能性があります。
今回の引き下げの要因は、日産の生産能力の
低下や、半導体不足による稼働率の低下、そ
れに伴うEBITマージン(償却前営業利益率)
の低下等があり、
同業他社に比べて「大きく見劣りする」とい
う点が格下げの要因となりました。
EBITDAマージンは、売上に対するキャッシュ
フローの割合ですが、それが同業他社に比べ
て低いことは競争力低下につながりかねませ
ん。
電気自動車市場での地位確保に必要な研究開
発費や設備投資は、将来的なキャッシュフ
ローを生み出すために必要ですが、
日産は2019年比で3500億円の固定費を削減し
収益性を重視した販売戦略を採用しているこ
とから、
今後の電気自動車市場での地位低下と財務基
盤の悪化の可能性が格付け引き下げに大きな
要因となっています。