Column/コラム

コロナ延長の理由にも要注意

コロナ延長の理由にも要注意

コロナ延長の理由にも要注意

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。

本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。

私のパートは【毎週木曜日】です。

税務調査について分かりやすく
解説していきます。

それでは、第三百九十回目。

テーマは、

「コロナ延長の理由にも要注意」

です。

コロナ禍も落ち着いてきたからか、ほぼ無条件に
認められていたコロナ禍に伴う申告期限の
延長について、近年は厳しい対応がなされています。

とりわけ、従来の取扱いとしては、申告書の
余白に申告期限の延長の旨を記載していれば、
特に理由を明記する必要もなくその記載だけで
延長が認められましたが、現状は申告書とは別に
申請書の提出が必要です。

注意すべきは、この申請書には
「期限内に申告できない」理由の記載が
必要とされています。このため、その理由に
正当性が認められなければ、申告期限の
延長が認められない可能性もあります。

このことは国税庁のホームページにも書かれて
いますが、令和4年度の所得税の申告を
したのに、令和3年度の所得税について
申告期限の延長を申請する、といった順序が
合わない対応は原則として認められません。

なぜなら、コロナ禍で申告できないから延長を
認める、という制度なのに、令和4年分の
所得税は申告できるのに、令和3年分は
申告できないでは話がつながらないからです。

これと同様の理屈は、税理士に申告を
依頼している場合にも問題になる可能性が
あります。従来、ほぼ無条件に申告期限の
延長が認められていた時の取扱いとして、
コロナ禍で期限内申告ができない理由の
一つとして、税理士側の事情も
考慮されるとされていました。

典型的な事情としては、顧問税理士が
コロナに感染した、といったものです。この場合、
納税者としては期限内申告ができる状況でも、
税理士のサポートを受けるのは難しいので、
税理士の事情を特に記載することなく
申告期限は延長できるとされていました。

しかし、現状においても、「コロナ禍で
税理士に~という事情があるために
期限内申告が出来なかった」といった
理由を申請書に書いてしまうと
問題になる恐れがあります。

税理士は一人の納税者だけではなく、顧客である
その他の納税者の申告を担当していますので、
ある納税者は税理士の都合により期限内申告が
できなかったのに、その他の納税者は
期限内申告ができた、では話が
つながらないでしょう。

となると、原則としては税理士の事情以外に、
期限内申告が出来なかった納税者については、
その納税者にのみ妥当するコロナ禍の特有の
事情を記載する必要があると考えられます。

コロナ禍は未曽有の国難でしたので、
少々強引な理屈でも納税者有利の取扱いが
認められると考えられてします。しかし、
現状は落ち着いた状況ですので、このような
対応はどんどん制限されることになるでしょう。
何より、本来、税務の取扱いは非常に
細かいため、今までのような国税の対応は
許されないものです。それだけコロナ禍が
大きな国難であった、ということなのですが、
このような例外はなくなる方向と言えます。

話を戻しますが、万一、延長が認められなければ
無申告加算税や延滞税などのペナルティも
発生しますので、取扱いや社会事情が
大きく変わった現在においては、コロナ延長という
特別な取扱いに頼ることなく、極力期限内申告に
努めるようにするべきと考えます。