守秘義務による録音禁止は限界に来ている
おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
本メルマガは、皆様が怖い怖い
とおっしゃる税務調査に対し、
勇気をもって戦えるノウハウを
解説しております。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく
解説していきます。
それでは、第三百四十九回目。
テーマは、
「守秘義務による録音禁止は限界に来ている」
です。
近年は、今後のトラブルなどに備える目的で、
電話などの会話を録音されることも
多くなりました。
それだけ、人々の権利意識が
高まっているということなのでしょうが、
こと税務調査については、未だに
録音することが国税から禁止されています。
税務調査の録音を禁止する根拠として、
国税が絶えず説明するのは
守秘義務違反です。国税には
国家公務員法の守秘義務と、
国税通則法の守秘義務の二重の
守秘義務
が課されており、国税の守秘義務は
非常に大きなもの言われています。
このような重い守秘義務があるからこそ、
データが外部流出すると困るため、
その防止策として税務調査の録音を
禁止すると調査官は説明します。
とは言え、税務調査の録音データの流出
について、それが守秘義務に抵触する
というのは、論理的ではありません。
なぜなら、流出させるのは国税ではなく、
税務調査を録音した納税者以外に
あり得ないからです。
録音データを持っていないので、
流出させようがない国税が、納税者が
行った外部流出の責任を取るというのは
違和感しかありません。
実際のところ、トラブル防止のため
税務調査の録音がしたいと考える企業に対し、
国税調査官がいつもやるように、「外部流出の
問題が生じるので録音は禁止されます」と
いった説明をしても、全く理解してもらえません。
前述したとおり、録音データの外部流出があった
場合、その責任は原則として国税にはなく、
自社にあることは明白だからです。
こういう訳で、私たち税理士が、
国税の指導に従って、税務調査時の録音を
禁止にしようとしても大変難しいのですが、
そもそも国税が録音を禁止する本音は、
自分たちの失言を防止するという非常に利己的
なものです。
このような利己的な目的を隠ぺいするために、
直接関係ない「守秘義務」を持ちだすので、
ルールが極めて複雑で分かりづらくなる
とともに、フェアではないため
納税者の不信感にもつながります。
実際のところ、税務調査は命の次に大切な
お金が絡むものですから、
自ずと国税とトラブルになることが多い訳で、
無用なトラブルを防止するためには、
録音が当然に必要になるはずです。
このため、守秘義務といったケチ臭い言い訳を
使わず、録音されても怖くないよう、
自分たちの発言に注意して税務調査を行うことが
妥当と考えます。
何より、今はスマホなどで簡単に
録音ができる訳ですから、税務調査の
録音を禁止するというのは
現実的ではありません。
時代としてもトラブル防止のため
録音されることが多い訳ですから、
税務調査についても録音を解禁すべき
時期に来ていると考えます。