~監査手続~ 残高確認状とは
おはようございます。
金曜日を担当していますセブンセンスグルー
プ(SSG)公認会計士の髙橋です。
金曜担当の私からは、会計・財務、税務、監
査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えします。
108回目の今回は、監査手続における”確認状
“についてお伝えします。
今週、以下のような記事が出ていました。
<三菱UFJ銀、企業の監査資料を電子化 邦銀初>
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58869370X00C22A3EE9000/
日経電子版 2022年3月8日
要約すると・・・、
・三菱UFJ銀行は企業の会計監査に欠かせな
い「残高確認書」を電子化する
・上場企業などが監査法人から監査を受ける
際、預金や貸付金などの数値を裏付ける資料
で、行内を紙の原本で回覧して必要項目を埋
めるなどアナログな作業が多かった
・電子化で発行までの期間を約3分の1に短縮
できる
・銀行業務や監査業務のデジタル化につなげ
る
というもの。
そもそも、残高確認とはどのようなものかご
存知でしょうか?
残高確認とは、監査法人や公認会計士が会計
監査を行う際に、強力な証拠を得るために実
施する手続の一つとなります。
監査手続においては、貸借対照表の資産や負
債の額が正しいことを確認することになるの
ですが、
負債については、”取引先が発行する”請求書
や”銀行等の借入先からの”返済予定表等によ
りその金額が正しいことを確認出来ます。
ここで、”取引先が発行する”、”銀行等の借
入先からの”と強調しましたが、監査手続に
おいて重要なので強調しました。
“取引先が発行する”請求書も”銀行等の借入
先からの”返済予定表等も、監査される企業
(被監査企業)が作成してものではなく、
第三者たる外部企業が作成したものであるた
め、証拠力が高いものとなります。(監査業
界では外部証拠/証憑と呼びます。)
被監査企業ではなく、外部の企業が作成した
ものであるため、改ざんの余地が限りなく少
なく、証拠としての信頼性が高いものと言え
ます。
上記は負債の金額確認についての説明でした
が、資産の金額を確認しようとすると負債ほ
ど簡単ではありません。
例えば売掛金については、売り先に被監査企
業から請求書を発行したりしますが、
この場合の請求書は、被監査企業が作成した
請求書であるため、改ざんの余地があり、証
拠力が高くありません。
これを外部証拠に対して内部証拠と言います。
そのため監査手続においては、もっと証拠力
の高い外部証拠を得るために、売り先に対し
て残高確認状を送付することになります。
売り先に対して、期末日現在の売掛金残高を
記載した確認状を送付し、金額に相違がある
か無いかを返信してもらうというものです。
これにより、売掛金の残高について、第三者
たる外部から強い証拠力を持つ証憑を得るこ
とが出来るのです。
上述の記事は、預金や貸付金残高についての
ものですが、今まで紙で作成、郵便で送付し
ていた残高確認状について、
電子的なプラットフォームを使用して効率
化・迅速化が可能となったという記事となり
ます。