農業相続人の相続税の特例について知りたい
40代・男性のご質問
親の農地を相続することになりました。
引き続き農業を営むつもりですが、相続税についての不安があります。
教えて下さい。
回答
農地を相続した人(農業相続人)には、農業を続けていくことを条件に納税猶予の特例があります。
これは、相続に伴って農地が減少するのを防止するために農業者の相続税負担を軽減する目的で
設けられている制度です。
具体的には、相続人が、農業を営んでいた被相続人から農地等(耕作権を含む)を相続して
農業を継続する場合には、農地等の価額(相続税評価額)のうち農業投資価格(注1)による
価額を超える部分に対応する相続税額については、その相続した農地等について
相続人が農業を営んでいる又は特定貸付け(注2)を行っている限り、その納税が猶予されるものです。
なお、猶予される相続税額を「農地等納税猶予税額」といいます。
さらに、この農地等納税猶予税額は、次のいずれかに該当することとなった場合には、
その納税が免除されます。
①特例の適用を受けた相続人が死亡した場合
②特例の適用を受けた相続人が相続税の申告期限から20年間農業を継続した場合
(市街化区域内農地等のみ)
③特例の適用を受けた相続人が、この特例の適用を受けている農地等の全部を農業後継者に
一括生前贈与し、その贈与税について納税猶予の特例を受ける場合
なお、特例を受けた農地を譲渡や農地以外へ転用したり農業経営を廃止するなどして
農業を営まなくなった場合には、猶予されていた相続税額を利子税とともに
納付することとなりますので注意が必要です。
注1農業投資価格とは、農地等が恒久的に農業の用に供されるとした場合に通常成立すると
認められる取引価格として所轄国税局長が決定した価格をいいます。
注2特定貸付けとは、農業経営基盤強化促進法の規定による一定の貸付けをいいます。
ワンポイント
農地を細分化すると農業経営を続けることが困難です。
そのため、通常は相続人の1人が農地の全てを引き継ぐことが多く、他の相続人の相続分に
大きな影響を与えます。
被相続人の生前から生命保険を活用するなどの対策が必要です。