Column/コラム

時価はやっぱり事実認定の問題

時価はやっぱり事実認定の問題

時価はやっぱり事実認定の問題

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。


私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。


それでは、第五百三十八回目。 

テーマは、「時価はやっぱり事実認定の問題」です。


税理士実務で最も問題になるのは、株式や不動産の「時価」です。


時価は一般的には不特定多数で取引が成立する客観的な取引価格を意味すると言われますが、具体的な算定方法は税務上定められていません。


確かに、国税の通達では時価の算定のために所定の評価方法が定められています。


しかし、課税上の弊害がある場合や、通達以上に合理的な評価方法がある場合には、この評価方法によらなくても問題ない、とされた判例もあります。 


とは言え、実務上非上場株式や不動産の取引は非常によく見られるため、何らかの形で評価をせざるを得ません。


税理士が独自の基準で評価すると責任問題になりますので、実務では国税の通達による計算を時価として処理しています。


このため、時価がいくらか問題になる場合、通達に則った計算をしているかどうか、それが問題にされることがほとんどです。


困ったことに、通達は法律ではないので裁判では根拠となり得ないと言われているのに、裁判官も原則として通達に適合しているかどうかで時価を判断しています。


しかし、時価とは通達で一義的に計算されるものではなく、取引が行われた場合の事実関係によって決まるものです。


例えば、借金のため早く現金が必要な場合であれば、かなりディスカウントしても売るでしょうし、


将来大規模開発が予測される土地であれば、相場より高額で取引されることもあるでしょう。


通達では、このような個別事情を反映しない仕組みになっていますので、通達の評価額が時価として不合理なことも多くあります。


実際、国税の通達においても、そして合理的とされる評価理論においても、株価がゼロと算定される債務超過の会社の株式について、その時価はゼロ円ではないと判断された事例があります。


この事例では、養父母が婿に、会社を引継ぐ時の自社の株価が問題になったものです。


この会社は業績が良くなかったようで、養父母は多額のお金を会社に貸していました。


その結果、この会社は養父母からの借金で債務超過になっていたのです。


債務超過の会社を引き継がせるのは忍びないといった事情や、その他の事実関係を踏まえ、この事例においては、養父母と後継者である婿の間で、この養父母の借金を免除するという合意があったと合理的に推認される、と判断されています。


その上で、このような推認が成り立つ以上は養父母の借金は最早債務としての実態がないため、この会社は債務超過とは言えないことから、株価はゼロ円ではない、とされています。 


実際に免除がなされていれば分かりますが、免除する合意があると推認される、という曖昧な状況でも債務は存在しない、とされた訳で、非常に驚かされます。


このような判断がなされることもありますので、通達の規定にそのまま当てはめるだけでなく、相場や事実関係なども踏まえた上で、慎重に時価を算定する必要があります。


追伸、

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