【健康経営】健康診断に「女性特有の健康課題」の問診を。企業の新しい役割とは?

おはようございます。
セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。
本日2月4日は「立春」。
暦の上では春の始まりですが、まだまだ寒い日が続きますね。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今号では、厚生労働省から新たに公表された、企業の「健康経営」にも直結する最新情報をお届けします。
■ 健診項目に「女性特有の健康課題」の問診が推奨されます
令和8年1月、厚生労働省より「女性特有の健康課題に関する問診を活用した実施マニュアル」が公表されました。
今後、定期健康診断の問診票において、月経困難症や更年期障害など
「女性特有の健康課題で職場で困っていることがあるか」という質問項目を追加することが適当であると示されています。
■「義務」ではない…問診導入の真の目的とは?
ここでまず正しく理解しておきたいのは、この女性の健康問診は、
労働安全衛生法で定められた「事業者の義務」ではないという点です。
業務との直接的な関連性が限定的であるため、あくまで「任意」の取り組みとされています。
ではなぜ国が導入を推奨しているのか。
それは、多くの女性従業員が月経随伴症状や更年期症状による
生産性の低下(プレゼンティーイズム)を抱えながら、周囲に相談できずに我慢している現状があるからです。
この問診の目的は、従業員本人が「これは治療可能な疾患である」と気づくきっかけを作り、
専門医への受診を促すことで、結果として企業の生産性を高める「健康経営」を推進することにあります。
■ 事業者が「やるべきこと」「やってはいけないこと」
新しい取り組みには、正しい理解とデリケートな情報への配慮が不可欠です。
実務上のポイントを整理しました。
【事業者がやるべきこと:環境の整備】
基本方針の表明:経営トップが女性の健康支援に取り組む姿勢を明確に伝え、周知します。
相談窓口の明確化:人事や産業保健スタッフなど、複数の窓口を設け、外部に漏れないよう配慮します。
柔軟な配慮の検討:相談があった場合、時差出勤、在宅勤務、休暇制度(生理休暇やウェルネス休暇)など、柔軟な支援を検討します。
【事業者がやってはいけないこと:プライバシーと不利益の禁止】
問診結果の直接取得:健診機関から事業主に回答内容が直接提供されることはありません。
本人の同意なく結果を把握しようとすることは認められません。
不利益な取り扱い:本人の意向を無視した配置転換や、健康課題の相談を理由とした不利益な扱いは避けるべきです。
不適切な声かけ:管理職による無理解や偏見に基づく言動は、ハラスメントに繋がる恐れがあります。
■ 離職防止への第一歩
「義務ではない」からこそ、この取り組みを導入している企業は「従業員を大切にする会社」としてのブランド価値が高まります。
適切なサポートがある職場では、従業員のエンゲージメントが高まり、優秀な人材の離職防止という大きなメリットに繋がります。
まずは、会社としてこの新しいマニュアルの内容を把握し、管理職層への研修から始めてみてはいかがでしょうか。
【参考URL:厚生労働省】
女性特有の健康課題に関する問診を活用した女性の健康管理支援実施マニュアル
春に向けた体制整備や、就業規則への反映など、気になることがございましたらお気軽に弊所までご相談ください。

