Column/コラム

サブリース費用はどこまで認められるか

サブリース費用はどこまで認められるか

サブリース費用はどこまで認められるか

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。


私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。


それでは、第五百二十六回目。

テーマは、「サブリース費用はどこまで認められるか」です。


個人の不動産投資家が節税を考える場合、法人化は避けて通れません。


自己の不動産事業から得られる所得を自分が作った法人に移すことで、不動産所得を法人の役員である家族に分散するなど、所得税ではできない節税が可能になります。


ただし、法人化といってもいろいろな形態があり、そのうち最もポピュラーな形態の一つにサブリースがあります。


サブリースの場合、個人投資家が持っている物件をいったん自社に賃貸借した上で、自社が賃借人に転貸借することになります。


こうすることで、自社が賃借人から得る賃料と、自分が貰うサブリース料との差額に相当する所得が、法人に移転されることになります。


ここで問題になるのは、移転する所得の水準です。


あまりにも多くの所得を法人に移転させるとすれば、個人投資家の所得が少なくなり所得税が減ります。


このため、サブリースの場合、移せる所得は概ね15%~20%程度と言われます。


具体的には、法人から得るサブリース料は、賃借人から受領する賃料の80%~85%位とすべきと言われます。


最近、このサブリース料の水準で争われた事例があるのですが、そこではサブリース料を6割程度に抑えていた不動産投資家に対し、税務当局は78%~79%とすべきとして課税しています。


一般論としては前述の割合ですので、これでも押さえた方だとは思いますが、この事例では税務当局の処分が違法とされています。


違法とされた理由は、サブリースに合理性があると判断されたからです。


サブリース料が適正でないとして所得税を課税する場合、行為計算否認規定と言われる、租税回避を防止する措置を使う必要があるとされています。


判例上、この規定の対象となるものは、経済的合理性がない取引による節税とされており、本件でもこの点問題になりました。


裁判所は目的と取引の内容から経済的合理性があると判断しています。


具体的には節税目的に加え、不動産事業の効率化がサブリースの主たる目的であったとした上で、サブリースはよく目にするスキームであることが指摘されています。


このため、サブリース料の割合が高いにしても、法人は赤字になっておらず、かつ相応の所得を個人投資家に残しているため、金額的に見れば不自然な取引とまでは言えないとしています。


しかし、節税以外の目的などいくらでも用意できますし、サブリースが不自然でないので問題なければ、サブリース料の水準を問題にすることが難しくなります。


納税者としてはこの判断は非常に都合がいいですが、適正公平な課税という点からすれば、サブリースによる節税にも問題が残る場合もありますので、この裁判所の判断には疑問が残ります。


追伸、

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