Column/コラム

忘年会シーズン到来!会社が訴えられないための宴席トラブル対策

忘年会シーズン到来!会社が訴えられないための宴席トラブル対策

忘年会シーズン到来!会社が訴えられないための宴席トラブル対策

おはようございます。

セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。


今週も労務に関する最新情報、お役立ち情報、事業主の皆様への注意点をお届けします。


さて、12月中旬を迎え、忘年会シーズンのピークがやってきました。


一年の労をねぎらう大切な場ですが、経営者・管理職の皆様にぜひご注意いただきたいのが、お酒の席での「ハラスメント・トラブル」です。


今回は、楽しいはずの宴席が企業の法的リスクに変わらないよう、実際の裁判例や健康リスクの観点から重要なポイントを解説します。


1.「盛り上がっていた」は言い訳になりません(判例より)


「無礼講でお互いふざけ合っていただけ」「相手も笑っていた」 そう思っていた行為が、後に高額な損害賠償請求に発展した事例があります。


過去の裁判例(広島セクハラ事件)では、忘年会での上司による行き過ぎた身体接触(抱きつきや羽交い締めなど)がセクハラと認定されました。


この判決の重要な点は、「被害者側もその場の空気に合わせて騒いでいた(拒絶しなかった)」としても、ハラスメントの成立は否定されなかったということです。


「酒の席だから」という甘えは、司法の場では通用しません。


(※詳細が気になる方は調べてみてください。ただし、性的なトラウマがある方は閲覧にご注意ください)


2.そもそも忘年会は「業務」?会社の責任?


上記の裁判でも、忘年会は「従業員の親睦を図る目的」であり、「業務の執行と密接に関連する」として、会社にも使用者責任(損害賠償義務)があるとの判決が下されています。


特に、会社が費用を負担している場合や、全員参加が事実上強制されているような場合は、そこで起きた事故やハラスメントについて、会社は「場所が違うから」と責任を逃れることはできません。


3. イッキ飲みは「傷害行為」です(アルハラなんて言葉だけではすまないかも)


セクハラと並んで注意が必要なのが、飲酒を強要する「アルコール・ハラスメント(アルハラ)」です。


厚生労働省等の資料でも警告されていますが、短時間の大量飲酒は、脳のマヒや呼吸停止を招く急性アルコール中毒に直結し、死に至る危険性すらあります。


特に、若手社員に対して「先輩の酒が飲めないのか」と強要したり、場の雰囲気で飲ませたりする行為は、命に関わる事故につながる危険な行為です。


万が一、搬送されるような事態になれば、会社の安全配慮義務違反が厳しく問われることになります。


4. トラブルを防ぐための事前対策


リスクを回避し、気持ちよく一年を締めくくるために、以下の対策を講じることをお勧めします。


•無茶な飲み方はその場で「止める」

これが最も重要です。一気飲みが始まりそうになったり、ペースが早すぎる社員がいたら、「死ぬからやめろ」と割って入って止めてください。

周囲の制止があれば防げる事故があります。

幹事や管理職には「止める役目」をお願いしておきましょう。


•事前のクギ刺し(周知徹底)

開催前に、責任者から「ハラスメントは宴席でも絶対に許されない」「飲酒の強要は禁止」と明確に伝えてください。


•「無礼講」の意味を履き違えさせない

無礼講とは「地位の上下を忘れて楽しむ」ことであり、「礼儀を無くして何をしても良い」わけではありません。

従業員の心身の健康を守り、活力を高める職場環境づくりは、企業の持続的な成長に不可欠です。


節度を守った開催で、良い年末をお過ごしください。


ご不明な点や、ハラスメント防止規定の見直し等のご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。