Column/コラム

【2026年4月施行】「130万円の壁」の認定ルール変更!

【2026年4月施行】「130万円の壁」の認定ルール変更!

【2026年4月施行】「130万円の壁」の認定ルール変更!

おはようございます。

セブンセンス社会保険労務士事務所の那須です。


今週も労務に関する最新情報、お役立ち情報、事業主の皆様への注意点をお届けします。


今回は、2025年10月1日に発出された通達に基づく、「被扶養者認定(いわゆる130万円の壁)」における年間収入の判定方法の変更について解説します。


この新しい取扱いは、令和8年(2026年)4月1日から適用されます。


■これまでの認定方法と新しい認定方法


現在の認定方法は、過去や現時点の収入から「今後1年間の収入見込み」を推計していました。


これには、変動しやすい残業代(所定外賃金)の見込みも含まれるため、判定が不安定な場合がありました。


これに対し、新しい認定方法では「労働契約」の内容が重視されます。


具体的には、雇用契約書や労働条件通知書に記載された「所定内の賃金(時給・労働時間・日数)」に基づいて算出した年間収入が130万円未満であれば、原則として被扶養者として認定されることになります。


これはつまり、当初は想定されなかった時間外労働の賃金等により結果的に年間収入が基準額以上になった場合であっても、被扶養者としての取扱いがなくなるわけではないという点が明確化されました。


■注意!実態と異なる記載は認められません


今回の変更は、契約段階での予見可能性を高めるためのものですが、とは言え、どんな契約書でも良いわけではありません。


もし、実際の収入が130万円を大きく上回っており、それが一時的な事情ではなく、「労働条件通知書の賃金を意図的に不当に低く記載していた」ことが判明した場合は、被扶養者の認定が取り消される可能性があります。


実態に即した適正な契約管理が求められます。


【Q&A】実務で押さえておきたいポイント


現場でよくある疑問点をまとめました。



Q. 契約外の残業代はどう扱うのですか?


A. 労働契約等の書面上に明確な規定がなく、契約段階で見込みにくい時間外労働の賃金は、認定時の年間収入の見込みには含めません。




Q. 結果的に残業で年収130万円を超えてしまった場合は?


A. 当初想定していなかった一時的な事情(繁忙期など)による収入増加であれば、結果的に130万円以上になっても、ただちに認定が取り消されることはありません。




Q. 労働条件通知書がない場合はどうなりますか?


A. 契約内容を確認できる書類がない場合は、これまで通り、直近の収入証明書や課税証明書等をもとに判定します。




なお、給与収入以外に他の収入(年金収入や事業収入等)がある場合の取扱いは従前通りです。


この変更は、パートタイマーの方が年収の壁を意識して就業調整を行う現状を改善することを目的としています。


施行は来年の4月からですが、今後の契約更新や採用時に「労働条件通知書」の内容がより重要になりますので、早めの確認をお勧めいたします。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。