Column/コラム

【実録】会計事務所のRPAやマニュアル作りって、ホントに役立つの?~2025年 確定申告業務 現場職員の本音~
2025.09.02
ペーパーレス

【実録】会計事務所のRPAやマニュアル作りって、ホントに役立つの?~2025年 確定申告業務 現場職員の本音~

【実録】会計事務所のRPAやマニュアル作りって、ホントに役立つの?~2025年 確定申告業務 現場職員の本音~

会計事務所において、毎年の確定申告は膨大な業務と向き合う試練の期間。
しかし、セブンセンスグループでは、毎年申告件数を伸ばしながら、過度な残業や混乱のない申告体制を実現しています。
前回のコラムでは、2024年度の確定申告業務の企画者であるDX支援部 BPO支援課 マネージャーの二神にインタビュー。
マニュアルの整備とRPAの活用を強化した結果、前年より400件多い1,900件の申告を成功させたことをご紹介しました。

ですが、その企画は、果たして現場で本当にうまく機能していたのでしょうか?
今回は、実際に申告業務の現場で汗を流した若手職員・曽我に、施策の効果や率直な感想を答えてもらいました。
企画の意図と現場の実感がどう噛み合っていたのか。
現場から見えた「企画のリアル」をお届けします。

🔍 確定申告・RPA・マニュアル・企画・kintone
…これらのワードに「おっ‼👀」となった方、必ず最後までご覧ください!!!

果たして企画者側の意図は伝わったのか?現場のリアル!

企画 その1 「緻密なマニュアルの整備」

📝企画のポイントはこれだ!
・2024年度版として、各工程ごとにマニュアルを整備
・RPA構築や業務の属人化を防ぐため「ボタンクリック一つずつ」詳細な手順を明記。
・短期アルバイトの方々や新入社員の実務に寄せた内容に調整。
・マニュアルを見れば業務が進められるように整理。

👩 現場の曽我さんの感想

ー 今回(2024年度)の確定申告では「緻密なマニュアル作り」が強化されました。

もともと「クリック単位まで緻密にマニュアルを作る」という提案を企画者の二神さんから聴いたときは、
現場にいる私としても、実は同じ課題感を強く持っていましたので「まさにその通り!」と感じ、大賛成でした。
私は現場で短期アルバイトの方々や後輩の指導も担当しており、彼らがマニュアルを片手に混乱している場面を何度か見ていたので、
企画の方向性と現場の感覚は合っていたのだと感じます。

ー 現場では、具体的にどのような混乱が起きていたのですか?

前回(2023年度)のマニュアルは税務知識と実務手順が一緒に記載されていて、短期アルバイトの方が混乱してしまうことが多かったんです。
また、社員の判断が必要な箇所も詳細に手順が書かれていたので「自分でやっていいのか?」と迷ってしまうことも多かったようで…。
そこで、今回は実務寄りに特化させ、社員の判断が必要な箇所は社員に確認を促す書き方に変えました。

ー 例えば、どのような部分を変えたのでしょうか?

例えば、これまでは「特定口座年間取引報告書の扱い」や「譲渡所得用の帳票作成方法」など、
マニュアルに記載していても質問が相次ぎ、結局社員が個別に対応することが多くありました。
そこで今回は、すべてを詳細に載せるのではなく、ケースによっては「社員に相談してください」と明記したり、
譲渡関連など特定の顧問先だけが対象となるものは、別のマニュアルに誘導といった形に変更し、
各々が迷子にならないよう、「やるべきアクションを簡潔に示すこと」を重視しました。

ー なるほど。そして今回は、確定申告業務の開始直前に、申告用ソフトの仕様変更があったようですね。
  マニュアル作成にも、大きな影響があったのではないでしょうか。

正直なところ、このときはマニュアルを「緻密に作り込む大変さ」を実感しました。
「クリック単位」で手順をマニュアル化していたので、当然ながら修正も「クリック単位」で…。
ただ、仕様変更にも対応したことで、実際の業務期間中に「社員が質問対応に追われる」ということがなかったのだと感じます。

ー 今後に向けての課題や展望はありますか?

課題としては、より現場の声を反映したマニュアル作りを徹底することだと考えています。
私自身まだ経験が浅いですが、経験を重ねるとどうしても「慣れ」で処理してしまう部分が出てきます。
しかし、業務の標準化を目指すマニュアルにおいて、それは許されないので、短期アルバイトや後輩の声に耳を傾け、
「マニュアル通りにやれば誰でもできる」マニュアルづくりを心がけたいと思います。

今後の計画としてはRPAを活用し、作業手順に応じてチェックポイントをポップアップ表示させる仕組みの導入を検討しています。
現段階ではまだ企画段階ですが、実現すれば、その場でチェックリストの記録まで完結できるようになります。
現場としても対応漏れの防止に大きくつながると感じますので、今から導入を楽しみにしています。
※こちらの構想に関しては、後日別のコラムでご紹介予定です!✰

企画 その2:RPAの活用による分業の強化

📝企画のポイントはこれだ!
・RPAの活用範囲を大幅拡大
・帳票出力をRPAで一括自動化
・ファイル名称の統一、印刷ミスの防止、出力の手間削減を目指した
・全体の業務時間削減と残業時間の抑制

👩現場の曽我さんの感想

ー 今回はRPAの活用も大きなテーマでした。現場では効果を感じられましたか?

帳票出力の自動化は、本当に大きな効果を感じました。
企画段階で二神さんから「帳票出力をRPA化する」と聞いたときから、「これは絶対に助かる!」と人一倍、期待していました。
かねてから、自分を含め現場の社員同士で「帳票出力の手間はとにかく大きい」と話していたんです。
帳票出力は、ファイルを指定し印刷ボタンを押すなど、人が判断する余地がほとんどない作業なのに時間がかかる工程です。
だからこそ、真っ先にRPAで自動化したかったですし、実際に自動化されて本当に嬉しかったです!

ー RPA化を進めるにあたって、曽我さんも現場の立場から関わった部分があったそうですね。

はい。私は、RPA構築を担当する社員に業務手順を説明する役割を任されました。
私自身、RPAの理解が浅い上に、申告書の作成業務をされていない方に業務工程をきちんと伝えられるか不安もありましたが、
マニュアルをベースに対応できましたし、実際に説明していく中でマニュアルでは補いきれていなかった部分にも気づくことができました。

所得税申告決算書(営業所得)5枚
所得税申告書2枚
第三者作成書類4枚
付表8枚
消費税申告書4枚
税務代理権限証書1枚
納税額管理表4枚

※RPAで自動出力できるようになった帳票の一例(こちらの顧問先は、計28枚の資料を自動出力に成功!)

ー 次に、残業時間については何か変化はありましたか?

残業時間は、本当に減った印象です!
前回は21時退勤が普通で、遅ければ22時を超えることもありましたが、今回は20時にはほぼ退勤できました。
実際に社員ごとの残業時間を記録しているのですが、データとしても残業時間が大幅に減っていると聞いています。
体感だけでなく数字でも裏付けられているので、現場としても「効果が出ている」と自信を持って言えます。

ー では最後に、今後に向けての課題はありますか?

今回の問題としては、帳票の修正が必要になったときの再出力フローが不十分なまま走り出してしまったことです。
結果、現場の業務と並行してRPAを修正することになりました。
これは企画スケジュールの見積もりが甘かったことが大きな原因だと感じるため、
次回からはもっと早い段階で企画に意見を出して、万全な体制でスタートできるようにしたいです。

現場が語る「確定申告は現場プロジェクト。」

ー 最後に、確定申告の「企画」について、現場視点の考えを教えてください。

次回に向けての企画の共有はいつも早く、確定申告業務が落ち着いた今年4月頃には大まかな計画の共有があります。
また、振り返りも度々行われており、出てきた問題点や改善要望を一つひとつ共有されました。
それぞれの回答に対する対応策を表にまとめ、「いつ」「誰が」「どのように」解決するかまで整理されているので
自然と現場も企画作りに参加している実感を持つことができています。

やはり、確定申告を成功させるには「早めの準備」「現場の声を反映させた企画」が欠かせないと感じます。
企画と現場が同じ方向を向いて動ける体制があるからこそ、大きな案件数にも対応できるのだと思います。
次回の確定申告も、この積み重ねを活かして、よりスムーズに、より確実に乗り越えていきたいです。

良い企画は、現場の“動きやすさ”をつくる

今回、企画者の意図と現場の受け止め方を照らし合わせてみることで、
改めて見えてきたのは「良い企画があってこそ、現場は自主的に動ける」ということです。
ただ毎年のルーチンとして処理するのではなく、工程ごとに設計され、マニュアルで仕組み化され、RPAで負担を軽減する…
こうした「設計」があったからこそ、現場の曽我さんのようなメンバーが安心して力を発揮できるのでしょう。

そして、その企画が現場と乖離しないものであった背景には、「余裕あるスケジュール」がありました。
無理のないスケジュールで準備を進めることで、現場からの改善提案も生まれ、より良い業務設計へとつながっていく。
企画の重要性は、こうした現場の実感によって、より一層明確になるのかもしれません。

📣 確定申告プランニング道場 2025 開催決定!

今回ご紹介したセブンセンスの実例を交えながら、
確定申告における業務設計・企画立案のポイントをじっくり学べるプログラムを開催します!

『確定申告プランニング道場 ~現場に合った業務設計を考える、実践型2日間プログラム~』

開催日【1日目】2025/10/10(金) 13:30~17:00
確定申告における「企画」の重要性を徹底解説!
そして、すぐに活用できる「確定申告企画書」の作成も予定!
【2日目】2025/10/31(金) 13:30~17:00
通常の事務所見学会ではお見せしていない
「確定申告verの所内見学」もご用意しております。
開催場所セブンセンスグループ 静岡オフィス
住所:〒422-8005 静岡県静岡市駿河区池田3875-92
TEL:050-5846-4997
参加特典資料振分ツール特別価格提供