英語研修の経費性

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。
それでは、第五百三回目。
テーマは、「英語研修の経費性」です。
税務上問題になる経費の一つに、英語研修の費用があります。
少子高齢化で日本の市場が沈む中、グローバルな経営展開が必要という声や、経営のプロとしてMBAを取得すると都合がいいといった風潮があります。
このため、経営者が英語を学ぶ必要性があると言われて久しいです。
近年は翻訳ソフトやAIの発展もあり、前ほどは言われないにしても、経営者が会社の経費で英語研修の費用を経費にしようとすることは普通にあります。
現実に国際展開している中小企業であれば、英語研修の費用の経費性は原則として問題になりません。
しかし、将来に備えて英語を今から学んでおく、という意向で英語研修の費用を落とすと、税務当局は往々にして厳しい判断をします。
一例として、過去の裁決例では、歯科医を営む事業者の英語研修の費用について、経費にならないとされた事例があります。
この事例では、現に行っている歯科医という業務について、英語の必要性は高くない以上、その研修費用が業務に直接必要とは言えない、という点で経費性が否認されています。
この判断は確かに一理あり、国際展開などしていない企業が、将来必要になる「かもしれない」英語を習得するために、わざわざ従業員に研修を受けさせて高額な費用を負担するということはまずないでしょう。
従業員が同じことをやっても負担しないのに、経営者が英語研修を受ける場合には経費にできる、というのは理屈としては無理があります。
将来国際進出する可能性はあり得るとしても、現状英語を使わない業務であれば、英語研修は直接必要とまでは言えませんから、税務調査では厳しい交渉にならざるを得ません。
一方で、国税庁は職員のために、現状の職務に関係なく、将来使う可能性がある英語の研修を実施していました。
具体的には、国税庁の研修において、国際租税セミナーという研修が平成24年度まで実施されていました。
この国際租税セミナーはすべての職員が選抜試験を経て受けられる研修で、そこでは国際税務はもちろん、国際税務を読み解く上で必要になる英語の研修も行われていました。
しかし、選抜試験を通ったからと言って、国際租税セミナーを受けた職員の多くは英語を使う国際税務に関する業務に就くことはありませんでした。
例えば、国外財産の徴収は極めて難しいこともあり、徴収担当に国際税務の知識はほとんど必要になりません。
しかし、このセミナーは徴収担当も受講できました。
そうなると、そもそもこのセミナーが税務当局の大部分の職員にとって、本当に必要不可欠と言えるのか、疑問もありました。
実際、仮に納税者が同様の研修を実施すれば、その費用について、直接必要とは言えないとして、経費性を否認される可能性が極めて大きいように思います。
このため、国際租税セミナーが過去実施されていたことを踏まえ、必ずしも現状英語を使わなかったとしても、英語研修の経費性は問題にならないのではないか、と反論することも一考です。
追伸、
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィール
は以下のサイトからどうぞ!!
↓↓↓
Facebook:https://www.facebook.com/motokokuzei
X :@yo_mazs
追伸、
わたくし松嶋洋の詳しいプロフィールは以下のサイトからどうぞ!!
↓↓↓
Facebook:https://www.facebook.com/motokokuzei
Twitter:@yo_mazs