【事業主必見】今更聞けない会計初心者講座 ~個人事業主のこれは経費計上NG!~ その1
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「会計って難しそう…」そんなイメージを持っていませんか?
個人事業主や小規模な会社を経営していると、会計のルールや手続きがよく分からず、「何から始めればいいの?」と悩むことも多いですよね。帳簿のつけ方や経費の扱い、確定申告の準備など、知らないまま進めると後で大変なことになってしまうことも…。
でも、実は少しずつポイントを押さえていけば、会計はぐっと分かりやすくなります。本コラムでは、初心者がつまずきやすいポイントをやさしく解説し、「知らなかったせいで損をする」ことを防ぐための知識をお届けします。コラムを担当するのは、得意げに、そして易しく会計について教えてくれるおカネコ先生です!

セブンセンスグループのオフィスに住み着く「おカネ」に詳しい「ネコ」。
会計初心者の個人事業主さんや小規模事業者さんの困った方を見るや否や、自慢のスーツに着替えて先生に大変身!
得意げに、そして易しく会計について教えてくれる…かも?
今回のテーマ「個人事業主のこれは経費計上NG!その1」
「この出費も経費にできたら、節税になるのに…」
そんなふうに思ったことはありませんか?
でも実は、どんな支出でも経費にできるわけじゃないんです。
事業に関係ないものや、法律で認められていない支出は、しっかり区別しておかないと、あとで税務署に指摘されることも…!
今回は、「これは経費にしてOK?NG?」と迷いがちな経費計上できない項目を、おカネコ先生と一緒にわかりやすくチェックしていきます。
うっかり経費にしてしまいがちな落とし穴、見逃さないでニャ!🐈
間違いやすい!これは経費計上NGリスト
① 自分自身の給与

「毎月、自分にも給料を払ってるんだけど…」
個人事業主の場合、事業の利益=自分の所得になります。
つまり、法人のように「代表取締役に給与を払う」といった概念は使えません。
そのため、自分自身に対して支払った“給与”は、経費として処理することができないのです。
📝 知っトクPOINT
ただし、日々の生活や事業をしていると「事業のお金で生活費を払った」「個人の財布から仕入れ代を立て替えた」といった、お金のやりとりが生じることはよくありますよね。
そこで活躍するのが、「事業主貸」「事業主借」という勘定科目です。
- 事業のお金を生活費に使った → 「事業主貸」(=事業から個人へのお金の移動)
- 個人のお金を事業に使った → 「事業主借」(=個人から事業へのお金の移動)
こうした仕訳をすることで、帳簿上でも事業とプライベートをきちんと分けて管理することができます。なお、自分への支払いを「給与」や「報酬」などで処理してしまうと、誤って必要経費にしてしまうリスクがあるので注意が必要です。
👉 詳しくはこちら 国税庁「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm

帳簿上でもプライベートと事業を明確に分けて管理することが必要ニャン!
② 所得税・住民税

「税金って、仕事に関係あるんだから経費になるんじゃないの?」
所得税や住民税は、事業とは関係なく「個人」として支払う義務がある税金です。
そのため、どれだけ事業で利益が出ていても、これらの税金は経費としては認められません。
また、税務署から課される延滞税や無申告加算税などのペナルティーも、経費にすることはできません。これらは、法令違反に対する罰則としての支出であり、必要経費の対象外です。
📝 知っトクPOINT
とはいえ、すべての税金が経費にできないわけではありません。
たとえば、自宅の一部を事務所として使用している場合、家全体にかかる固定資産税のうち「事業で使っている分だけ」を経費計上できます。このとき使うのが「按分(あんぶん)」という考え方です。
按分の方法は主に次の2つです。
- 面積按分 仕事で使っている部屋の広さ ÷ 自宅全体の広さ
- 時間按分 一日のうち、その部屋を仕事で使っている時間の割合
たとえば、自宅全体が80㎡で、そのうち10㎡の書斎を平日8時間仕事に使っている場合、
按分割合は「面積 10÷80 = 12.5%」×「時間 約33%」=約4.1%といった具合になります。
こうして計算した割合を、家賃や固定資産税、水道光熱費などに当てはめることで、プライベートと事業をきちんと分けて帳簿に記録できるのです!
👉 詳しくはこちら
・国税庁「必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
・国税庁「家事関連費(第1号関係)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm

税金も「仕事のためか」が判断のカギだニャン!
③ 交通違反の反則金や税金の延滞金

「仕事中の違反なんだし、経費にできてもいいんじゃないの?」
業務中の違反であっても、交通違反の反則金や税金の延滞金は、必要経費(損金)として認められません。これは、法令違反に対するペナルティであり、事業の遂行に通常必要な支出とはみなされないためです。
📝 知っトクPOINT
個人事業主の場合、事業用のお金から違反金を支払ったときは、「事業主貸」という勘定科目を使って仕訳をします。つまり、「個人的に支払うべきものを、事業から立て替えた」という考え方です。
また、交通違反金とは別に、業務時間中に発生したレッカー移動代や保管料など、違反とは直接関係しない付帯費用については、業務上必要な支出と判断されれば、「雑費」や「旅費交通費」などの科目で経費として処理できる場合もあります。
👉 詳しくはこちら
・国税庁「必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

交通違反は“仕事中”でもダメニャン!レッカー代は経費OKなこともあるよ!
④ プライベートと混在する支出

「このカバン、仕事でもプライベートでも使ってるから、経費にしちゃおうかな」
事業とプライベートの両方に使っている物品やサービスは、事業との関連性を明確に説明できない限り、経費として認められにくいのが原則です。
たとえば次のようなものは、特に注意が必要です。
- バッグやスーツなどの衣類
- スマートフォンやPC
- 書籍、家具、車、通信費など
このような支出が「仕事でも使ってるし…」という曖昧な理由で経費にされていると、税務調査で否認される可能性もあります。特に、“普段使い”しているものは「生活費の延長」と見なされやすく、事業に使った証拠や割合が残っていないと、経費計上は難しくなります。
📝 知っトクPOINT
ただし、事業用の利用割合が明確な場合は、「按分(あんぶん)」して経費計上するという方法もあります。たとえば、スマートフォンの利用が事業50%・私用50%であるという客観的根拠が提示できれば、通信費の半分を経費として処理することが可能な場合があります。
最終的には、「誰が、何の目的で、どのくらい使っているか」を説明できるかがポイントです。
按分の考え方は②「所得税・住民税」の項でも詳しく解説しています!
👉 詳しくはこちら
・国税庁「必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

「なんとなく仕事にも使ってる」は危険ニャン!
⑤ 個人事業主や家族の健康診断費用

「仕事を続けるには体が資本!健康診断も経費にしたいな」
たしかに健康は事業を続けるうえでとても大切ですが、個人事業主が自身の健康診断を受けた場合、その費用は経費として認められません。これは、個人事業の場合、法律上、健康診断の受診が義務づけられていないため、業務上必要な支出と見なされないからです。つまり、健康診断は“仕事のための出費”ではなく、“生活上の個人的な出費”として扱われるのが原則です。
さらに注意したいのが、青色申告の「青色事業専従者(=家族従業員)」の健康診断費用も、同様に経費にはできないという点です。青色事業専従者は、事業主に準じた立場とみなされるため、会社の従業員のように健康診断費用を「福利厚生費」として扱うことはできません。
つまり、事業主本人やその家族(専従者)の健康管理に関する支出は、生活上の個人的な費用として処理されるというのが原則です。
📝 知っトクPOINT
健康診断の費用は経費にはなりませんが、場合によっては「医療費控除」として所得税の計算で使える可能性があります。
ポイントは「治療が目的かどうか」です。
- 通常の健康診断 → 医療費控除の対象外
- 健康診断で異常が見つかり、治療や再検査につながった場合 → 医療費控除の対象になることがある
たとえば「再検査のための検査費」「医師の指示による通院費」などが該当します。
控除として扱うには、確定申告時に医療費の明細書を提出する必要がありますので、領収書などはしっかり保管しておきましょう。
👉 詳しくはこちら
・国税庁「必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
・国税庁「医療費控除に関する手続について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1119.htm

健康は大事だけど、「生活費」として見なされるから経費にしちゃダメニャン!
おカネコ先生のワンポイントアドバイス
いかがでしたでしょうか?
「これも経費で落とせるんじゃない?」と思っていた支出が、実はNGだった!というケースも意外と多いものです。特に、事業主本人に関する支出やプライベートと混ざりやすい支出は、税務調査でもチェックされやすいポイント。知らずに処理していると、あとで修正や追徴が発生することもありますので、正しい知識でしっかり対応していきましょう!
そこで、おカネコ先生からのアドバイスは…🐾
✅ 給与や税金など、「個人に関わる支出」は経費にならないことが多い!
→「自分への給与」「所得税」「健康診断費」などはNGとしっかり覚えておこう!
✅ 「仕事にも使ってる」は危険ワード!?
→ バッグ・スマホ・家賃など、事業との関係性が曖昧なものは、按分や根拠の記録がカギ!
✅ 支出は、「事業のためかどうか」を常に意識しよう!
→ 曖昧なものは記録と理由を残しておくと安心ニャン!
✅ 会計ソフトを活用して、帳簿の精度も管理コストもアップデート!
→ セブンセンスグループでは、「マネーフォワード クラウド会計」活用法についてのセミナーも随時開催中です!ご興味がある方は、こちらから詳細をご覧ください!
今回ご紹介したものは、ほんの一例です。
次回以降も「個人事業主のこれは経費計上NG!」シリーズを配信いたしますので、ぜひチェックしてくださいね!

困った時は、すぐに税理士に相談するのが一番!
セブンセンスグループは、
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