役員賞与引当金と事前確定届出給与

おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。
それでは、第四百八十八回目。
テーマは、「役員賞与引当金と事前確定届出給与」です。
税務当局が、未だに馬鹿げた処理を納税者に強制していると思うのが、役員賞与引当金の税務処理です。
企業会計においては、翌期に支給すべき役員に対する賞与について、その見込額を役員賞与引当金として計上しなければならないとされています。
そして、翌期に実際に役員に賞与を支出したタイミングで、その役員賞与引当金を取り崩すことになります。
しかし、このような処理をすると、役員賞与を税務上の経費にできないとされています。
この理由として、役員賞与引当金は、「前期」の職務に関する賞与を意味するから、と説明されています。
役員に関する賞与は、事前確定届出給与という形で、事前に「当期」の職務に関する金額を税務署に届け出ておくことで経費になるとされています。
役員賞与引当金は、「前期」の決算で「前期」の役員に対する職務に対する貢献を見積もった賞与を意味することになります。
このため、役員賞与引当金を取り崩して支給する賞与は「前期」の職務に基づく賞与に当たると解説されています。
事前確定届出給与は、先の通り「当期」の職務に基づく賞与ですから、両者は異なるものと税務署は取り扱っています。
結果として役員賞与引当金として経理した場合には、役員賞与は経費にならないと、著名な専門家でさえ解説しています。
しかし、会計基準は会社法上会社が順守しなければならないものですから、役員賞与引当金を計上することは法人の義務です。
法令を遵守して役員賞与を支給しているのに、税務上は経費と認めないなど、法治国家として絶対に許されるものではありません。
しかし、この許されない取扱いが、法人税法上の正しい処理であるとされているのです。
このような現状には怒りしか湧いてきません。
しかし、とある税務雑誌で取り上げられていた先日の裁決事例において、「前期」に役員賞与引当金で経理をしても、役員賞与を支給した「当期」の経費として認めて差し支えないとした事例があるようです。
この事例では、役員賞与引当金という経理処理をしていたとしても、必ずしも「前期」の職務に基づく賞与とは言えないと判断しています。
その上で、取締役会議事録など、その他に「前期」の職務に基づく賞与と言える証拠が必要であるとし、それは見つからないため、役員賞与は経費で問題ないとされています。
つまり、役員賞与引当金という経理だけでは「前期」の職務に基づく賞与とは言えないとしている訳で、通説は誤っていることになります。
このような重大な裁決ですから、税務当局は早く公開して、現状の通説が誤りであることを周知すべきでしょう。
なお、この裁決事例では、「前期」の職務に基づく賞与に当たる証拠がないことが重視されています。
税務調査対策の王道である、税務当局に余計なものを見せない、不要な記録を残さないことの重大性についても、この裁決事例は示唆しているのです。
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