分業と自動化の”深化”でたどり着いた課題とは?セブンセンスの確定申告振り返りインタビュー パート2

確定申告は、毎年チームの総力が試される一大プロジェクト。今年もセブンセンスでは申告件数の増加にもかかわらず、分業体制や自動化の工夫によって、1,900件という目標を達成することができました。
前回のコラムでは、実務の指揮をとった二神マネージャーに、現場の取り組みや工夫を伺いましたが、今回はその上司であり、全体を統括した村上部長にインタビュー!分業や自動化の“深化”によって見えてきた、新たな課題とは?現場の裏側に迫ります。🎤
🔍業務管理・確定申告・RPA
…これらのワードに「おっ‼👀」となった方、必ず最後までご覧ください!!!

DX支援部 部長
静岡拠点で勤務。経営者のためのDX型経理支援サービス「SEMS(シームス)」ディレクター。
全体の所感と見えてきた課題
ー 確定申告、お疲れ様でした。今年の業務を終えてみて、率直な感想を教えてください。
今年の確定申告は、全体としては件数も目標を達成でき、上手くいった部分が多かったと感じています。ただ、それぞれの工程でボトルネックになるようなポイントがあったことも事実です。そうした意味では、まだまだ改善の余地があるというのが率直な感想です。
ー 外部受託の方は順調に進んだと、二神さんから伺いましたが、その点はいかがでしょうか。(前回のコラムを参照)
そうですね。特に社内工程に関しては、それぞれの役割をきちんと全うすることができました。これは指示系統が整っていたこともありますし、日々やるべきことを明確にしたうえで対応していたというのが一因だと思います。
また、昨年から取り組んでいたRPAによる業務の自動化についても、今年は対応範囲をさらに広げました。こちらが効果的に働いた部分もありましたね。ただし、人が処理する作業の方が先に進んでしまい、RPAによる処理の完了を待つ場面が出てしまうといった、新たな問題も発生しました。
RPA処理待ちが発生すると、その間の時間が無駄になってしまい、非常にもったいないため、台数を増やすことで解消するのか、あるいは別の方法で対応するのか、今後検討が必要だと考えています。このようなボトルネックを解消していければ、さらに良い状態で業務を進められるようになると思いますし、まだまだ申告件数を拡大できると感じています。
業務管理の工夫と朝礼の役割
ー 「日々の役割を明確にする」というのは、具体的にどのようなことをされていたのですか?
案件の難易度やレベルに応じて、誰がどの案件を担当するのかをあらかじめ決めておきました。また、決裁やチェックといった下流工程に案件が溜まってきたときは、そこに集中して対応するように、適宜アナウンスをしていました。
また、確定申告の期間中は、毎朝朝礼を行っていたので、業務の進捗を共有したり、その時点で出ている注意事項、当日達成すべきゴールなどをメンバー全員に伝えていました。
それをもとに推進メンバーが、現在の状況を確認し、遅れが出ているところに対して人を調整すべきか、それとも翌日でリカバリー可能かどうかを判断し、対応を行っていました。
RPAの稼働優先とその影響
ー 「RPAの対応待ち」についてですが、具体的にどのような状況だったのでしょうか?
今期は、外部受託先からの資料ダウンロードをスタートとしており、この部分をRPAが優先的に処理していましたが、他の作業に使えるマシンが一時的に足りなくなってしまい、一部の工程で「RPAの対応待ち」という状況が生まれてしまいました。
特に帳票印刷の工程では、申告書を作成した人が帳票を印刷するのではなく、帳票印刷専用の工程に回し、RPAで一括出力を行う体制をとっていました。しかし、RPAの対応待ちの影響で、帳票印刷の工程に案件がどんどん溜まっていき、その後の決裁業務が進められないという状況が生まれました。決裁者は案件が溜まっていることを把握していても、帳票が印刷されないことには決裁ができない。そんな場面が何度か発生しました。
ー ということは、資料ダウンロードをしている時は帳票印刷ができず、帳票印刷をしている時は資料ダウンロードができない、という状況だったのでしょうか?
そうですね。マシンは最終的に3台動かしていたのですが、それでも台数が足りなくなりました。
ー そうすると、人が処理する部分とRPAが処理する部分のタイミングを合わせながら作業を進めるか、あるいは単純に台数を増やすなどの対応が必要になってくるということでしょうか?
おっしゃる通りです。ただ、最大処理量に合わせてマシンの数を用意してしまうと、時間帯によっては稼働しないマシンが出てきてしまい、それはそれで無駄になってしまいます。将来的に件数がさらに増えていけば、マシンを増やすことの効果も出てくるとは思いますが、今は何台あれば最適に業務が回るのか、実際に運用しながら検証していく段階ですね。
分業の深化と次年度への課題
ー 今、伺ったお話は、まさに制約理論(※)で言われているようなことかと思いますが、分業体制や自動化を進めていくことで、そのような課題に到達したということでしょうか?
その通りだと思います。どうしても一番スピードが遅い工程に、全体の業務スピードが依存してしまうというところがあります。他の全工程が最高速度を出していたとしても、一ヵ所で遅れが生じると、全体のスピードはそこに引きずられてしまいます。これは申告件数が増えてきたからこそ、よりはっきりと見えるようになった課題だと感じています。
※「制約理論」は、業務全体の流れの中で最もパフォーマンスを制限している“制約”に着目し、そこに集中的に改善を施すことで、組織全体の成果を高める手法です。部分最適ではなく、全体最適を重視するマネジメントアプローチです。
ー なかなか一般的な会計事務所では分業制も取り入れていないですし、「工程」という考え方も浸透していない中で、こうした視点を持てているというのは、課題ではあるものの、業務が洗練されてきているという印象もありますね。
そうですね。まさに分業が進んできた結果だと思います。以前であれば、全工程を一人でこなせる人が前提になっていましたが、今では期間限定で働く人も増えており、チームで工程を分けて対応するようになっています。
そうすると、それぞれの工程に対してスピードや人員の調整が必要になります。そうした配分や配置を最適に行うための統括役の重要性も増していると感じています。
ー それでは来年度に向けて、取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
まず、今回の確定申告を通じて、経験の浅いメンバーでも業務をこなせるようになってきたというのは非常に大きな成果だったと思います。
一方で、経験が浅いと、どうしても専門的な部分での気づきや見落としが発生しやすくなります。ですので、基礎知識の向上は欠かせないポイントです。業務の最適化が進むと、定型的なチェックが中心になっていきますが、その中で本来気づくべき税務的な視点が抜け落ちるリスクも高まります。
効率化という面では今期はうまくできたと思いますので、次期は業務の品質向上により注力していきたいと考えています。
今回のインタビューを通じて見えてきたのは、分業と自動化が進んだことで業務の効率は大きく向上した一方で、新たな課題も浮かび上がってきたということです。
特に、RPAの最適化など、より高いレベルで業務を整えていく必要性が明らかになりました。
こうした気づきをもとに、来年はさらなる改善と業務品質の向上に取り組んでいきます。確定申告をもっとスマートに、そしてもっと強く。今後の進化にもご期待ください!最後までお読みいただき、ありがとうございました!