東先生の人事労務相談室「髪色・ネイル・服装…多様性時代の企業対応とは?」

社会保険労務士の東先生が、これまでの豊富な経験をもとに、人事労務に関するさまざまな疑問にわかりやすくお答えします。近年、多様性を尊重する社会の流れを受け、企業も従業員の個性を認める方向へとシフトしています。しかし、その一方で、髪色やネイル、服装をめぐるルールについて、職場での考え方に違いが生まれ、トラブルに発展するケースも増えています。
個性を尊重しながら、業務に適したルールを整えるにはどうすればよいのか? 職場環境の改善につながるポイント を、東先生と一緒に考えていきましょう!教えて東先生!

セブンセンス社会保険労務士法人
特定社会保険労務士 代表社員

「最近、多様性を尊重する企業が増えていますが、髪色やネイル、服装をめぐるトラブルもよく聞きます。個人の自由と職場のルール、どのようにバランスを取るのがよいのでしょうか?」
企業のイメージや業務内容によっては一定のルールが必要ですが、一律に制限するのではなく、柔軟に対応することも大切です。多様性を尊重しつつ、職場の秩序をどう保つか、一緒に考えていきましょう!

多様性と企業文化のギャップが生むトラブル

近年、多様性の尊重が企業にも求められるようになり、髪色やネイル、服装の自由を認める動きが広がっていますが、職種によっては一定のルールを設ける必要があり、従業員の価値観とのギャップがトラブルを引き起こす要因となっています。
例えば医療機関では、一部の医療機関では、手袋の使用を前提にネイルに対するルールを見直す動きもありますが、特に感染リスクが高い診療科では依然として厳しい制限が維持されています。
また、ピアスやタトゥーに関しては、業務の安全性や顧客の受け止め方を考慮し、一定の制限を設ける企業が多いのが現状です。こうしたルールの変化に対応するためには、企業が多様性と業務特性のバランスをどのように取るかを慎重に検討する必要があります。
企業がルールを整備する際のポイント
近年は若年層に向けた採用施策の一環で、髪色や服装の自由を認めるケースも増えています。しかし、自由度を高めることは企業のイメージ向上につながる一方、トラブル発生時に企業が従業員を守る姿勢を貫けるかという責任も伴います。従業員の自由を認める一方で、その方針を社内外に明確に示し、適切に対応できる体制を整えておくことが重要でしょう。
企業は、 業務の特性を踏まえた柔軟なルール設定を行い、服務規程やガイドラインを整備して従業員に周知することが求められます。また、社会の価値観や職場環境の変化に合わせて、ルールを定期的に見直すことも大切です。従業員の意見を取り入れながら柔軟に対応することで、働きやすい環境の整備につながるでしょう。
新卒や新入社員が入社後、早期に離職することが話題になっていますが、このような服務規律や会社のルールを聞いていない等、労働条件が違うという理由を多く聞きます。
会社にとっては些細なことかもしれませんが、社員の価値観が多様化しているため、 採用時や入社時の説明を強化し、身だしなみに関する方針を事前に伝えることで、後のトラブルを回避できます。さらに、ルールの定期的な見直しを行い、時代の変化や現場の意見を反映しながら柔軟に調整することも必要です。
このような事前の対策をきちんと行うことで、従業員のルール違反が発覚した場合は、服務規程に基づき、冷静かつ合理的な対応を行うことが可能になります。従業員とは、対話を重視しながらも、企業側の判断基準を明確にし、公平性を担保することで、従業員の納得感を高め、職場の秩序を維持することができるでしょう。
まとめ
多様性を受け入れる企業が増える中、職場のルールとのバランスをどのように取るかが重要な課題となっています。企業は、従業員の個性を尊重しながらも、業務に支障が出ないようなルールを明確にし、適切に運用する必要があります。そのためには、服務規程の策定だけでなく、ルールの意図をしっかり説明し、従業員と共により良い職場環境を築くことが求められるでしょう。
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