増税ニュースにも慎重に対応する
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おはようございます!
税理士の松嶋と申します。
私のパートは【毎週木曜日】です。
税務調査について分かりやすく解説していきます。
それでは、第四百八十三回目。
テーマは、「増税ニュースにも慎重に対応する」です。
岸田前政権時代の話。
岸田前総理は増税に積極的であることもあり、サラリーマン増税という言葉がよく言われました。
とりわけ、問題になったのは政府税制調査会が出した答申です。ここでは、非課税所得の見直しの必要性について言及されていました。
マスコミの報道では、この答申から、今後代表的な非課税所得である通勤手当や社宅の貸与についても見直しがなされるとも言われました。
しかし、実際の答申の内容は報道とは多少異なっていました。
確かに、政府税制調査会は非課税所得について見直しが必要と言っていることは事実ですが、個別具体的にどの非課税所得を見直すべきか、といった点について言及していませんでした。
具体的には、非課税所得の代表例である通勤手当については、「参考:主な非課税所得」として例示で挙げられているだけでした。
非課税所得にはこのようなものがありますよ、と解説しているに過ぎなかったのです。
加えて、税制改正においては、与党税制調査会が具体的な方策を決めており、政府税制調査会の意向が反映される訳ではありません。
実際、税制改正については、どの税理士も与党税制調査会の資料を詳しく読んでおり、政府税制調査会の資料は参考程度にしか見ていません。
実現可能性があるのは与党税制調査会の意向だからです。
このため、政府税制調査会の答申を取り上げて、通勤手当が課税される、といった報道を見ても煽り過ぎのようにしか思えませんでした。
この点、経営者の節税に使われている社宅家賃を見直すのであれば、国民の理解も得やすいでしょうが、仕事で絶対に必要になる通勤費を補てんする通勤手当に課税するとなると、到底国民は納得できません。
実際、サラリーマンは給与所得控除という概算の控除しか認められておらず、通勤費の実費は現状経費と認められていない訳ですから、経費は認めないのに収入には課税するとなると、理屈としても無理があります。
このため、通勤手当に対する課税は無理があり、仮にそれが実現するのであれば、流石に政権は持たないだろうと考えたものです。
岸田政権後の石破政権も、増税志向が大きいこともあり、今後も増税改正が実現する可能性は大きいと考えています。
しかし、実際に増税が実現するかは政治情勢にも影響されますので、実現可能性は不確実です。このため、報道に左右されず冷静に情報を確認する必要があります。
加えて、税は専門的な部分が大きいものです。増税というと、非常に大きな注目を集めますが、マスコミの方も十分な知識がないからか、実現可能性も踏まえずに不正確な情報を流すこともあります。
このため、税に関しては社会状況も見ながら、慎重に改正情報をチェックする必要があります。
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