Column/コラム

米国・個人税制の最新情報:2025年版

米国・個人税制の最新情報:2025年版

米国・個人税制の最新情報:2025年版
News Room《“International Taxation” News》 
               (2025.01.20)               
海外資産にかかる税務は少しずつ身近な出来事になってきています
GEPAS Inc.letterは、seventh sense groupの大切なお客様に向け、
海外税務に関するさまざまな情報を発信しております
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◇ Topic
米国・個人税制の最新情報:2025年版
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今回のGEPAS Inc.ニュースレターでは、
非居住外国人(NRA:Non Resident Alien)
に関連する2025年の米国税制改正をまとめてみました。

NRAに影響を与える以下の主要トピックと関連する豆知識をご紹介します。

1.税率および税率区分
2.遺産税免除枠の更新
  <豆知識① 非居住者の定義について>
3.投資収益に対する課税
4.申告要件と居住ステータスの判定
  <豆知識② SPTテストの計算方法>

ぜひ最後までご覧いただきまして、
最新情報をご確認くださいませ。
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■1■ 税率と税率区分

2025年の税制では、インフレ調整により税率区分が改定されました。
主な税率は以下の通りです:
  • 37%:所得が$626,350を超える個人(夫婦合算申告の場合は$751,600以上)
  • 35%:所得が$250,525を超える個人(夫婦合算申告の場合は$501,050以上)
  • 32%:所得が$197,300を超える個人(夫婦合算申告の場合は$394,600以上)
  • 24%:所得が$103,350を超える個人(夫婦合算申告の場合は$206,700以上)
  • 22%:所得が$48,475を超える個人(夫婦合算申告の場合は$96,950以上)
  • 12%:所得が$11,925を超える個人(夫婦合算申告の場合は$23,850以上)
  • 10%:所得が$11,925以下(夫婦合算申告の場合は$23,850以下)
また、標準控除額も増額されています。
  • 夫婦合算申告:$30,000
  • 世帯主:$22,500
  • 個人申告:$15,000
これらの変更により、NRAが標準控除を利用できる場合、
課税所得計算に影響があります。
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■2■ 遺産税免除枠

NRAが所有する特定の米国所在資産には遺産税が課されます。
免除枠は次の通りです:
  • NRA:$60,000(米国所在資産のみが対象)
  • 米国市民・居住者:$13,990,000(インフレ調整後、全世界資産が対象)
NRAの免除額は米国市民に比べて著しく低いため、
米国内資産に対する遺産税リスクを軽減するためには
適切な資産計画が重要です。

ここで、非居住者の定義について改めて整理してみます。

<豆知識① 非居住者の定義について>ーーーーーーーーーーーーー
非居住外国人(NRA)がグリーンカード(永住権)を保持し、
「税務上の米国居住者」として税務申告を定期的に行う場合、
“US Resident for Tax Purpose”と定義され、
一般的に米国市民と同じ遺産税規則が適用されます。

グリーンカード保持者向け遺産税免除枠
2024年の米国市民および米国税務上の居住者(グリーンカード
保持者を含む)の遺産税免除額は$13.61百万ドルです。
2025年にはインフレ調整により$13.99百万ドルに増額されます。

適用規則
グリーンカード保持者は遺産税の観点で「米国居住者」と見なされるため、
米国外の資産も含めた全世界の資産が米国遺産税の課税対象となります。


主な違い

グリーンカードを持たない非居住外国人(NRA)
  〇遺産税免除枠は$60,000に限定されます。
  〇米国内資産のみが課税対象です。

グリーンカード保持者で米国税務上の米国居住者
  〇遺産税免除枠は米国市民と同じで、2025年は$13.99百万ドルです。
  〇全世界資産が課税対象です。

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■3■ 投資収益に対する課税
非居住外国人(NRA)にとっても、米国内での投資(例:不動産や株式)
の売却益に対する課税があります。
通常、米国源泉徴収や米国内で得た所得に対する税申告が必要です。
また、該当する租税条約に基づいて税率の軽減や免除が可能な場合もあります。

・米国源泉の譲渡税(キャピタルゲイン)
  〇日米租税条約により低減または免除される場合があります。
  〇譲渡税は居住者の居住地課税になりますので、
   米国では非課税(日本で課税)になります。
   ただ、所得の支払者に同率の源泉徴収義務が課されていますので
 (NRAに対しては米国源泉のキャピタルゲインに対して30%の源泉課税)
   次の手順で還付請求します。
 ①米国非居住者であることを証明するIRSフォームW-8BENの提出
 ②米国確定申告の際に源泉税の還付を受ける

・配当(Dividend)
 NRAが受け取る米国源泉の配当は、
 通常10%の源泉徴収が課されます。その際に発行される
 Form 1042-Sを、米国IRSに納税した証明として、
 日本で外国税額控除を申請します。
・利子・利息収入
 利息は居住者の居住地課税になりますので、
 米国では非課税(日本で課税)になります。
 米国で非課税となるためには適格な債務証書やIRSフォーム
 W-8BENの提出が必要です。ただし、米国で事業をする
 非居住者(外国企業)の場合には、預金利子は米国源泉所得となります。
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4 申告要件と居住ステータスの判定

NRAには、以下の申告要件があります。
・Form 1040-NR
米国所得のあるNRAは引き続き
Form 1040-NRを提出する必要があります。
最近の改訂により、報告手順が2ページに簡略化されました。

FATCAおよびFBAR
外国口座に10,000ドル以上の残高を有するNRAは、
口座情報と残高の報告義務があります。

実質的居住要件(SPT)
ここ数年以内に渡米した方、
または年度途中で渡米、または帰国された方など、
SPT(Substantial Presence Test)を用いて居住ステータスを
確認する必要があります。

<豆知識② SPTテストの計算方法>ーーーーーーーーーーーーーーーー

税務上の居住者ステータスを判断する際には、グリーンカードテストか、
実質的居住要件(SPT)を使用します。実質的居住要件(SPT)とは、
英語で
“Substantial Presence Test”と呼ばれます。
このテストでは、過去3年間の米国内滞在日数を基に判定します。

SPTを満たすには、以下の条件を満たす必要があります
1.現在の年に少なくとも31日間、米国内に滞在していること。
2.現在の年とその前の2年間を合計して183日間以上、米国内に滞在していること。
ただし、計算方法は以下の通りです
・現在の年の滞在日数をすべてカウントします。
・直前の年の滞在日数の1/3をカウントします。
・その前の年の滞在日数の1/6をカウントします。

SPTの対象となる滞在日数
・米国内に1日の一部でも滞在した場合:その日は滞在日数としてカウントされます。
・旅行日数
 ・米国に入国した日:滞在日数にカウントされます。
 ・米国から出国した日:一般的に滞在日数にカウントされます。ただし、単なる乗り継ぎ
  の場合は例外です。
 ・乗り継ぎの場合:2つの外国間を移動する途中で24時間未満の滞在の場合、その日はカ  
  ウントされません。
 ・その他の状況:休暇、出張、一時的な勤務などで米国内に滞在した日数はすべてカウン
  トされます。

より強い結びつきの例外(”Closer Connection Exception”)
SPTを満たした非居住外国人(NRA)であっても、
他国との「より強い結びつきの例外(Closer Connection Exception)」
の条件を満たす場合、非居住者として扱われる可能性があります。

この例外の例として、以下が挙げられます。

  • 恒久的な居住
  • 家族の居住地
  • 経済的活動の中心
  • 社会的、政治的、または文化的関係
「Closer Connection Exception」を主張するためには、IRSに対して
Form 8840(Closer Connection Exception Statement for Aliens)
を提出する必要があります。このフォームには、
他国との強い結びつきを証明する情報を記載します。

2025年の米国税制改正は、非居住外国人(NRA)や
グリーンカード保持者にとって重要な影響を与えます。
今回ご紹介した内容を参考に、税務戦略を見直し、
将来の計画を見直すことに役立てて頂ければ幸いです。

     (writer:Associate /Yukari Miyahara)  

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参考情報:

•IRS税率情報
https://www.irs.gov/newsroom/irs-releases-tax-inflation-adjustments-for-tax-year-2025?utm_source=chatgpt.com

•IRS遺産税情報
https://www.irs.gov/businesses/small-businesses-self-employed/estate-and-gift-taxes

•キャピタルゲイン税の最新情報
https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/the-taxation-of-capital-gains-of-nonresident-students-scholars-and-employees-of-foreign-governments#:~:text=A%20flat%20tax%20of%2030,more%20during%20the%20taxable%20year.
    
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