Column/コラム

東先生の人事労務相談室「パタニティハラスメントとその対策」
2025.01.29
人事労務

東先生の人事労務相談室「パタニティハラスメントとその対策」

東先生の人事労務相談室「パタニティハラスメントとその対策」

社会保険労務士の東先生が、これまでの豊富な経験をもとに、人事労務に関するあらゆる質問にわかりやすくお答えします。ハラスメントや労務管理の課題など、職場環境の改善に直結するトピックスが満載です。これを読めば、よりよい職場環境づくりに向けて、すぐに役立つ知識を得ることができるはず!今回はどのような質問に答えてくれるのでしょうか?教えて東先生!

質問者
質問者

「パタニティハラスメントに関するニュースを聞きました。
男性社員の育児休暇に対応できる職場環境作りは必須でしょうか?」

育児や介護休暇に関する法整備が着々と進んでいます!
職場環境を整えていくことは必須です!

東先生
東先生

男性の育児休業取得状況と職場の現状

近年、男性の育児参加が社会的に推奨され、育児休業を取得する男性社員も増加しています。特に一般企業では、男性の育児休業取得が比較的スムーズに行われるケースが増えてきています。専門的な技術を要する所謂「職人」が求められる職場では、長期の休業が業務に与える影響が大きく、取得が難しい場合もありますが、在宅勤務やフレックスタイム制の普及により、育児休業を取得せずに業務時間を調整して育児に参加する男性も増えています。

しかし、女性の育児休業取得と比較すると、男性の取得に対する職場の理解はまだ十分とは言えません。この背景には、男性が育児のために休業を取る必要があるのかという社会的な価値観が根強く残っていることが挙げられます。

実際に、男性社員が育児休業を取得しようとした際に、職場内での人間関係が悪化し、パタニティハラスメント(男性の育児休業取得に対する嫌がらせ)に発展するケースも報告されています。これは、男性の育児参加に対する理解不足や偏見が原因となっています。

法改正による育児支援制度の拡充

2025年4月から施行される「育児・介護休業法等改正」では、育児支援制度がさらに拡充されます。特に「看護休暇」の取得事由が拡大され、これまでの子どもの病気やケガ、予防接種に加えて、感染症による学級閉鎖や入園式、卒業式への参加なども認められるようになります。

さらに、3歳未満の子を養育する労働者に対して、テレワークを選択できるようにすることが事業主の努力義務として追加されます。これにより、育児と仕事の両立がより柔軟に行える環境が整備されることが期待されます。

このように、今回の法改正は、男性の育児参加を促進し、職場での理解を深めるための重要なステップとなりますが、企業はこれらの制度に対応するため、就業規則の見直しや社員への周知を徹底を急ぐ必要が出てきています。

企業と社会の意識改革の必要性

男性の育児参加を推進するためには、企業だけでなく社会全体の意識改革が不可欠です。女性の育児休業取得が一般的となったように、男性の育児休業取得も時間をかけて社会的な価値観が変化し、数年後には普通のこととなるでしょう。

この変化に後れを取らないように、企業は、社員が育児休業を取得しやすい環境を整備するとともに、管理職や同僚の意識改革を促す研修を実施することが重要です。また、男性社員自身も育児参加の意義を理解し、積極的に制度を活用することで企業の環境整備につながるのです。

まとめ

男性の育児休業取得を取り巻く環境は、法改正や社会的な意識変革を通じて少しずつ改善されています。企業は制度の見直しや社内研修を通じて、育児休業が男女問わず当たり前に取得できる環境を整えることが求められます。また、社会全体で男性の育児参加を支援する環境を作るすることが、働きやすい職場づくりの鍵となります。パタニティハラスメントの解消に向けた取り組みを通じて、すべての労働者が育児と仕事を両立できる社会を実現していきましょう!

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