Column/コラム

岩見先生の採用対策室「履歴書&職務経歴書のイマドキ事情」
2024.12.24
人事労務

岩見先生の採用対策室「履歴書&職務経歴書のイマドキ事情」

岩見先生の採用対策室「履歴書&職務経歴書のイマドキ事情」

企業の採用活動における疑問や課題に、セブンセンスグループの現役採用担当であり、豊富な知識と経験を持つ岩見先生が徹底解説します。毎年の新卒採用を支える実務担当者だからこそ語れる「成功する採用活動」の秘訣や、実践的なアドバイスを通じて、皆さまの採用活動に役立つ情報を提供します!今回はどのような質問に答えてくれるのでしょうか?教えて岩見先生!

質問者
質問者

「履歴書や職務経歴書の形式が年々変化していると聞きました。
私が就職活動をしていた頃とは、大きく異なるとか…!」

形式は勿論、有用性についても問われはじめています!

岩見先生
岩見先生

履歴書・職務経歴書が変わる時代

長年、履歴書や職務経歴書は、経歴の確認は勿論、応募者の人柄を知るための重要な資料として位置づけられていました。しかし近年の人材採用難の状況や技術の進歩から、履歴書や職務経歴書の形式に大きな変化が見られるようになりました。かつては当たり前だったルールや文化が、昨今では普通ではなくなっていることも…!

今回は、履歴書・職務経歴書に関する最新事情を整理し、採用活動において企業がどのように対応すべきかを解説いたします!

履歴書・職務経歴書の形式の変化

履歴書や職務経歴書の形式は、近年大きく変化しています。
代表的なものとして、以下の例が挙げられます。
経営者の皆さんにとっては驚きの内容も含まれるのでは?

  • 顔写真の省略
    従来、履歴書には顔写真を貼るのが一般的でしたが、現在では顔写真の提出を求めない企業も増えています。特に海外では「顔写真不要」がスタンダードとなっており、この流れが日本にも浸透してきています。
  • 印鑑の省略
    以前は履歴書の署名欄に印鑑を押すのが一般的でしたが、ネットのフォーム式のエントリーシートが一般化してから、紙面の履歴書や職務経歴書においても印鑑の省略化が加速しました。
  • デジタル化の進展
    手書きの履歴書が主流だった時代から、現在ではPCで作成し印刷した履歴書や職務経歴書を受け付ける企業が増えています。一部ではデジタル形式の提出でしか応募を受け付けていない企業もあり、手書きの重要性が年々大きく低下しています。
  • AIによる作成支援
    現在は履歴書や職務経歴書の文章をAIツールで作成する応募者も増えているのが実情です。これにより、応募者はスムーズに書類を整えられる一方で、企業にとっては書類を審査基準とすることの信頼性が低下するという課題もあります。

履歴書・職務経歴書の役割の変化

従来、履歴書や職務経歴書は応募者の人柄や誠実さを判断するための重要なツールとされていました。字は丁寧に書かれているだろうか、記入漏れがないか…そうした基準を満たしているかを確認し、応募者が「当たり前のことを当たり前に出来るかどうか」を測る材料とされていたのです。しかし、お話しした通り、急速に進むデジタル化やAIツールの活用などで、履歴書や職務経歴書が本当に応募者本人の言葉で書かれているのかを判断するのが難しくなっているため、元々の役割も弱まりつつあります。

また、現在の採用市場では、人材不足の影響で「まず応募者を増やすこと」が重要となっています。このため、企業はエントリーのハードルを下げる方向にシフトしています。例えば、仮に書類の提出を条件にしていても、提出を面接当日とする企業も増えています。

企業が求められる工夫

履歴書や職務経歴書の形式が変化する中で、応募者をどのように評価し、どのようにアプローチするか。企業は採用活動のあり方を根本から見直すことが求められています。
現代において、以下のようなことを見直し、自社で工夫を凝らすと良いでしょう。

  • 応募者と直接会う場の確保
    書類審査の難しさが増しているため、これまで以上に面接などで応募者の価値観や働く姿勢を直接確認する機会を重要視する必要があります。面接は対応者の力量が大きく影響するため、お互いの適正を確認し合える貴重な機会として、事前にどのような面接を行うかを社内でしっかりと話し合い、万全な体制で挑むことが重要です。

    また、まずは面接前に履歴書や職務経歴書を預かるかどうかを決めることが必要です。もし預からない場合でも、応募要件において必要な資格やスキルなど、必須事項を事前に確認しておかないと、ミスマッチが起きる可能性が高まります。一方で、書類を預かった場合には、資格や経験、過去の退職理由など、面接で確認したいポイントを事前に整理しておき、的確な質問ができるよう準備しておくことが大切です。

    特に、人物重視で経験や資格を優先しない採用方針の場合、とにかく間口を広げて多くの応募者と会ってみることをおすすめします。直接会うことが難しい場合でも、まずはオンラインで15分程度の面接を実施することで、応募者の第一印象や価値観を把握する機会を作ることが可能です。

  • 応募ハードルの適切な調整
    応募ハードルが高すぎると応募が減り、低すぎると質の低下を招く可能性があります。履歴書や職務経歴書の形式に置き換えると、従来通りの形式で提出を求めると人柄が垣間見える一方で応募者が減少し、デジタル化を進めると応募者は増えるものの、ミスマッチな応募も増える傾向があります。

    現代の人材不足においては「まず応募者を増やすこと」を優先する傾向にありますが、採用活動をスムーズに進めるためにも、自社の採用計画に合わせて応募ハードルを調整する必要があります。応募者にとってエントリーがしやすい環境を整えながら、企業としても適正な判断を下せる体制を整えることが、質の高い採用活動につながります。


いかがでしたでしょうか。
履歴書・職務経歴書の形式や役割が変化する昨今。企業はこれまで以上に柔軟な視点と対応力を持つことが求められています。採用活動を成功させるためには、応募者と直接会う場を確保し、書類だけでは分からない人柄や価値観を把握する機会を作ることが重要です。また、企業のニーズに合った人材を見極めるためにも、応募ハードルを適切に調整することも求められているでしょう。
ぜひ、自社の履歴書・職務経歴書の取り扱いに関して見直し、時代に合った採用活動を進めてみてはいかがでしょうか?