Column/コラム

【税理士が徹底解説】 失敗事例から学ぶ 確定申告
2024.12.25
融資業務

【税理士が徹底解説】 失敗事例から学ぶ 確定申告

【税理士が徹底解説】 失敗事例から学ぶ 確定申告

皆さんは確定申告の準備、お済でしょうか?「これまで何回もやっているから大丈夫!」そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その年の活動や環境の変化によって必要な対応は大きく変わります。実は、毎年スムーズにこなしている方でも、”ちょっとした油断”が思わぬ落とし穴に繋がり申告前に大慌てになることも!

そこで本コラムでは、確定申告でよくある失敗を徹底解剖!状況別にセブンセンス税理士法人の代表税理士である大長税理士が対策を解説します。これを読んで、目前に迫った確定申告を乗り切りましょう!

🔍 開業・雇用・経費・断捨離
…これらのワードに「おっ‼👀」となった方、必ず最後までご覧ください!!!

失敗事例 その1「開業初年度で大失敗…」

サロン開業をしてから、初めての確定申告…。
いざ確定申告の処理に手を付けようとしたら、
青色申告の承認申請書」の提出を忘れていることに気づきました。
慌てて税理士事務所に相談をしましたが時すでに遅し…

K.Sさん(20代女性)
K.Sさん(20代女性)

開業初年度は「青色申告の承認申請書」を提出を忘れずに!

青色申告を初年度から利用するには、「青色申告承認申請書」を開業から2か月以内に税務署へ提出する必要があります。ですが、この申請を忘れてしまう方が少なくありません。
結果として、白色申告事業者として申告することになり、青色申告特別控除(10万円・55万円・65万円)が受けられなくなるのです。これだけで税金の負担が大きく変わるため、非常にもったいない話です。
例えば、ある方は開業後の事務作業に追われ、気づいた時には申請期限を過ぎていました。慌てて気づいたとしても、期限を過ぎていれば取り戻すことはできません。

また、「開業届」の提出についてもお忘れなく。こちらは開業後1か月以内に税務署へ提出する必要があります。この届出を怠ると、税務署からの重要な書類や案内が届かなくなり、後々の手続きで手間取る可能性が出たり、知っておくことで確定申告を有利進められる情報を得る機会が減ってしまいます。

初年度は初めてのことが多く、忙しい日々を送ることになると思いますが、基本の手続きほど後回しにしないことが大切です。準備を万全にして、安心して事業運営を進めていきましょう!

失敗事例 その2「新規雇用で退職騒ぎ?!」

W.Mさん(30代女性)
W.Mさん(30代女性)

開業してから初めてアルバイトを雇いました。
しかし、確定申告の時期になり、処理を見直したところ
様々な処理が漏れていたことが発覚!
これがアルバイトからの信用を失うきっかけになり、
退職となってしまいました。

人に関わる対応はきちんと行うべきでしたね…。
こうならないためにも、以下の点を今のうちに見直してみましょう!

まず、新規雇用を始めた際に重要なのが、「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出することです。この届出を出していないと、給与に関する必要な手続きの案内が税務署から届かなくなります。また、源泉徴収を行うことを税務署に知らせる役割も持つため、適切に源泉徴収税の天引きができず、不足分を後から従業員に請求する必要が出る可能性も。また、天引きした源泉徴収税の納付が漏れていた場合、加算税や延滞税等のペナルティが発生する場合もあります。このような追加の支払いは、経営者にとって大きな負担になりかねませんので、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出を行い、必要な手続きや情報収集を怠らないようにしましょう。

もう一つの注意点として、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から回収しないまま年末調整を進めてしまうケースがあります。この申告書がないと、税金の控除額を正確に計算できず、結果として従業員から余計な税金を引いてしまうことがあります。

初めての雇用や年末調整は複雑に感じるかもしれませんが、確実に処理を進めていかないと、後の確定申告の対応も複雑化してしまう恐れが大いにあります。特に人件費は経営状況を大きく左右する経費ですので、確実な対応を!

失敗事例 その3「これは経費にならないの?!」

F.Kさん(30代)
F.Kさん(30代)

店舗経営をしています。少しでも経営に関わる出費は
すべて経費になると思い、記帳していましたが
いざ会計事務所に相談すると
あれもこれも経費にならないことが発覚!
気づいてよかったですが、経費になるか判断が難しいです…

皆さんがよく悩まれる点ですね。
困った時は相談が一番ですが、日々の意識や書類管理も重要です。

確定申告を初めて行う方からよく受ける質問の一つが、「これも経費になりますか?」というものです。事業に関係する支出であれば何でも経費にできると思い込んでいる方が多いですが、実際にはそう単純ではありません。

例えば、以下のようなケースをみてみましょう。

  • 取引先との食事代を経費に計上した
  • 得意先が経営する店舗で物品購入した

このような支出の場合、売上に直接関連すれば経費として認められ、売上に直接結びつかない(結びつきが考えにく)支出は、事業との関連性が問われることとなり、その強弱によっては経費として認められない可能性が生じます。

まず、「事業に関係する支出であれば何でも経費にできる」という思い込みは持たず、事業との関連性に自信があるものだけを経費にする心がけが重要です。その上で関連性に自信がある支出に関しては、領収書等をきちんと保管するのは勿論のこと、領収書に状況説明を記入しておくことが有効です。
例えば、「○○の事業の協力先。人数△名と食事」や「○○のための物品購入。△△で使用」など。そのときの状況が確認できる内容であれば、仮に税務調査をされた場合も証拠として有効に働く場合があります。

経費は思い込みで計上すると、税務調査で否認され、追加の納税やペナルティが発生する可能性があります。確定申告において非常に重要な部分ですで、正しい知識の習得と準備を欠かさずに!

失敗事例 その4「スマホで稼いだだけなのに…は許されません!」

断捨離の一環で年に数回フリマアプリで不用品を出品したところ、
大量に売却でき収入が発生しました。
ただ不用品を売っただけなので、何も気にしていませんでしたが、
確定申告が必要だと聞きました。スマホで稼いだだけなのに…!

近年、急増しているご相談ですね。落ち着いて一つ一つ準備を始めましょう!

普段使っている家具や衣類といった生活用動産を売却した場合、基本的には非課税です。ただし、繰り返し大量に売却していると「営利性」が疑われることがあります。それが「事業」や「営利目的」とみなされた場合、確定申告が必要になる可能性があります。同じ物品を繰り返し出品している場合なども「事業」とみなされる可能性が高くなるでしょう。

また、貴金属や宝石類の売却は注意が必要です。売却額が1つ30万円を超える場合、それは生活用動産として扱われず、譲渡所得とみなされ課税対象となります。取引内容をしっかり記録し、必要に応じて税務署に相談してください。

このように生活の中で得た収入でも、場合によっては確定申告の対象になることがあります。「知らなかった」では済まされず、後から税務署から指摘を受けると、ペナルティが発生することもあります。こうしたリスクを避けるためにも、不要品の売却や高額取引を行う際は、事前に情報収集を行ったり、必要に応じて税理士に相談しておくと安心です。


今回のコラムでは、よくある失敗事例を通じて、確定申告に向けた具体的な準備方法をお伝えしました。いずれの失敗事例も、早めの準備をすることで対策できるものばかりです。これをきっかけに、確定申告をよりスムーズに進められるよう準備いただければと思います!

それでも、「自分の場合はどうすればいいのだろう?」といった疑問や不安がある方もいらっしゃるかもしれません。その際は、ぜひ私たちのグループにご相談ください。経験豊富な税理士が、皆さまの状況に合わせたアドバイスを提供いたします。早めに準備を始め、不明点があればお気軽にお問い合わせください!