東先生の人事労務相談室「スマホ時代のイマドキトラブル事例」
社会保険労務士の東先生が、これまでの豊富な経験をもとに、人事労務に関するあらゆる質問にわかりやすくお答えします。ハラスメントや労務管理の課題など、職場環境の改善に直結するトピックスが満載です。これを読めば、よりよい職場環境づくりに向けて、すぐに役立つ知識を得ることができるはず!今回はどのような質問に答えてくれるのでしょうか?教えて東先生!
セブンセンス株式会社 社会保険労務士法人
特定社会保険労務士 代表社員
「近頃、スマホで労務に関して情報収集する方が増えていると聞きました。
経営者以上に従業員の方が知識が豊富という事業所もあるそうで…
そうした今だからこそ起きたトラブル事例があれば教えてください!」
どなたでも手軽に情報収集できる今だからこそ
より良い職場環境づくりを心掛ける必要があります!
トラブル事例を予め知って、できる対策を行ってください。
現代における従業員の知識と社内トラブルの事例
近年では従業員がスマートフォンを活用して労働者の権利について調べることが増え、法的な知識が経営者層よりも豊富な場合もあるといいます。また、労務に関するアプリやサービスも日々登場しており、今までになかった社内トラブルに発展するケースが少なくありません。今回は未払い残業代と退職代行に関する事例をご紹介します。
1.未払い残業代の請求トラブル
従業員が未払い残業代を請求するケースが増えています。今はスマートフォンで従業員が自らの労働時間を記録したり、労働法に関する知識をアプリで学べる時代になっています。具体的には、未払い残業の疑いを感じた従業員が、専門家監修のアプリを利用して未払い額を正確に計算し、会社に請求を行うケースです。特に、企業側が残業時間を適切に記録していない場合や、みなし残業代の設定に不備がある場合は大きなトラブルに発展してしまいます。
どなたでも手軽に情報収集・管理ができる時代だからこそ、企業はこれまで以上に正確な労働時間の管理を徹底し、残業代の未払い等が起きないようにするための仕組み作りが求められています。
2.退職代行サービスの利用増加
もう一つ、新しいトラブルとして、退職代行サービスの利用増加が挙げられます。特に若い世代の従業員が、退職の意思を直接会社に伝えることを避け、利用するケースが増えています。実際に代行サービスを介して退職の手続きを取られると、企業は従業員と直接対話できなくなってしまう場合もあり、意思の疎通が図れないことから、退職手続きが複雑になることがあります。特に、弁護士が関与する退職代行では、従業員との交渉がほとんどできなくなり、即時退職の通知が来ることもあるため、企業にとって大きな負担となります。
この背景には、退職を伝える際のストレスや、会社との関係悪化を避けたい従業員の心理があると考えられます。企業は、退職を決断する前に従業員が気軽に相談できる環境を整えることや、入社時に適切な退職手続きの手順を説明することがトラブル防止につながるでしょう。
トラブルが発生した際の対応策
いずれのトラブルが発生した際は、まず従業員と落ち着いてコミュニケーションを取れる時間を早急に作ることが重要です。
また、トラブルを未然に防ぐためには、いつでも従業員が悩みや不満を自由に相談できる環境を整えることが必要です。具体的には、1対1で対話ができるような面談を定期的に行い、従業員の状況を把握する取り組みをお勧めします。
また、労務管理の専門家である社労士と連携し、労働環境の適正な管理を行うことも大切です。
給与や退職時のトラブルは勿論、ハラスメントに関するトラブルは社内での解決が難しくなるケースが多いです。また、ご紹介したようなトラブルが増える今だからこそ、定期的に就業規則を見直す必要があります。専門家による法律に関する専門的なサポートを受け、労働環境の安定化を心がけましょう。
これらの対応策を実行することで、経営者自身も安心して適切な労務管理を実践できるようになるのです。