Column/コラム

システム経験0の人材がkintoneサポート担当者になるまでの道 <前編>
2024.09.25
ペーパーレス

システム経験0の人材がkintoneサポート担当者になるまでの道 <前編>

システム経験0の人材がkintoneサポート担当者になるまでの道 <前編>

はじめに…

会計事務所がデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代に対応するためには、効率的なシステム運用が不可欠です。サイボウズ株式会社が提供する「kintone」は、こうしたニーズに応えるクラウドサービスとして注目されています。
 今回は、全国に拠点を構える会計事務所グループである弊社の利用経験を通じて、顧問先情報の管理や月次や季節業務の進捗把握、内部コミュニケーションの強化など、どのように「kintone」を活用して業務効率化を図ってきたのか、具体的な事例をご紹介いたします。
 また、弊社のサポート業務に携わる社員は、未経験からスタートし、現在では「kintone」のサポートのプロとして会計事務所を中心にサポートをしています。
これからご紹介する事例や社員の成長の過程を通して、どのように「kintone」が業務改善に貢献するかを詳しくお伝えします!

kintoneとは?

まずはじめに、今回ご紹介するサイボウズ株式会社が提供する「kintone」について、簡単におさらいをいたします。
 TVコマーシャル等で既にご存知の方も多いかと思いますが、「kintone」は累計30,000社以上・毎月500社以上が導入するクラウドサービスです。一番の特徴は何と言っても、ノーコードでアプリが作成できる点!表計算ソフトよりも快適に、専門システムより柔軟に、自社でシステムを開発するよりスピーディー&低コストに、「サクッと」思いついた業務改善をすぐに実行できるのが大きな特徴です。

サイボウズ株式会社が提供するkintone
https://kintone.cybozu.co.jp/

セブンセンスの代表的な活用事例

会計事務所の業務では、顧問先の情報や進捗管理が担当者に属人化してしまい、日々の業務管理・分析が難しいケースが多々あると思われます。それらは、<業務の対応漏れに気づくことができない>、<担当者の引継の際に情報伝達が難しい>、<作業工数に見合った報酬になっているのか分析ができない>など…様々な問題が発生する原因となってしまいます。
 弊社では、そのような状況を打破すべく、kintoneの導入段階で以下のアプリを開発しました。

顧問先情報の管理

まず、弊社では<顧問先情報の管理>から取り掛かりました。顧問先の情報が分散していると、業務の効率化が進まないだけでなく、分析や戦略の立案が難しくなります。また、担当者に情報の管理を任せきりにしてしまうと、ブラックボックス化し、すべての顧問先に漏れなく対応できているか確認することが困難になります。

 そこで弊社が作成したのは「顧客マスタ」。その名の通り、顧問先情報を登録するいわばデータベースアプリとなります。顧客との対応記録もこちらで管理しています。
契約情報だけではなく顧客に関するあらゆる情報が集約されたことによって、顧客情報の見える化が実現し情報共有のスピードが格段にアップしました!

弊社がkintone導入時に最初に作成した「顧客マスタ」
現在はバージョンアップを行いフィールドが増えておりますが、初期段階で既に基本項目は揃っています! 

 POINT 
アプリ自体の構成は非常にシンプルですが、初期段階で社内システムの土台となるデータベースをしっかりと構築することで、その後のアプリ開発も円滑に進めることができるので、正しい情報を統一されたフォーマットで登録していける工夫が非常に重要になります。そのために、各入力欄(kintoneでは「フィールド」と呼びます)の種類を慎重に選んだり、時には入力規制を持たせたりすることを意識しました。

各フィールドの特徴を活かして、正しく情報が登録されるような設計を目指します。

月次進捗の管理

 業務管理システムの土台となるデータベースアプリ(「顧客マスタ」)が完成後、業務ごとの進捗管理アプリを作成しました。今回は顧客マスタの情報を引用し、各顧客ごとの月次業務を管理できる「月次進捗管理表」をご紹介します。
 こちらのアプリは、1顧客ごと、月別に1レコードを登録する形式を採用しており、顧客ごとの業務進捗を詳細に把握できるようになっています。
さらに、kintoneの標準機能である「プロセス管理」を活用して
〈顧問先の資料回収〉〈会計ソフトでの入力・監査〉〈社内チェック〉〈顧問先との面談〉…など、各工程ごとに「いつ」「誰が」「どれくらいの時間をかけて」作業を行ったかを記録しています。こちらの仕組みにより、担当者ごとの作業時間や、会社全体で各顧問先にかけている1ヶ月あたりの作業時間を正確に算出することが可能です。また、これらの情報を活用して、担当者の業務スピードの分析や、顧問先報酬が作業時間に見合った適切なものであるかどうかを評価しています。

「月次進捗管理表」
ステータスの更新履歴を工程ごとに記録しています。

 POINT 
「プロセス管理」とは、kintoneの基本機能の一つで、業務の進行を段階ごとに管理できるシステムです。こちらの機能を使うことで、業務進捗を「資料回収待ち」「入力中」「チェック待ち」といったステータスで管理することができ、誰でも簡単に進捗の把握ができるようになります。
また、各ステータスに作業担当者を設定することで、各ステータスに到達した際に作業者宛てに通知を送ることができ、作業の抜け漏れ防止になります。
(参考 「プロセス管理の基本的な使いかた」 https://jp.cybozu.help/k/ja/id/040575.html )  弊社では、「プロセス管理」を業務進捗管理アプリで利用しており、ステータスと作業者を一覧画面に表示しております。一目で進捗状況を確認できるのは勿論のこと、案件数をステータス別で管理することで作業者のピークコントロールとしても一役買っています。

未経験から「kintone」サポートのプロへ。社員が語る成長の記録。

ここまでご紹介した内容は、kintoneのほんの一部!様々な機能を組み合わせることによって、自社の業務環境に沿ったアプリを作成することができます。しかし、いざ導入や運用を始めると、そのカスタマイズ性の高さゆえに、初めての方にとっては戸惑う部分も多いかもしれません。当社では、そんなお客様をサポートするために、社員が「kintone」の専門知識を身につけ、各種サポート業務を行っています!

 ここからは、サポート業務に携わる弊社の社員のインタビューをお届けします。入社当時は「kintone」に関して全くの未経験でしたが、現在は導入支援から運用サポートまで難なくこなす「kintone」サポートのプロに成長しています。彼がどのようなステップを踏んで「kintone」の知識を習得し、今の業務に活かしているのか、その道のりを詳しく伺いました。

Q:まずはじめに…入社当初はどのような業務をされていたのですか?

入社当初は、税務会計を行う部署に所属し、監査や決算書の作成業務を行っていました。kintoneを含め、業務で様々なツールを使用していましたが、あくまで使用する立場であったため、システム構築とは無縁の部署に所属していました。

Q:なるほど。そこから何故、kintoneのサポート業務に携わることになったのですか?

当時から、システム部署でkintoneサポートのサービスは行っていたため、システム開発に必要なプログラミング言語の知識が一切ないお客さまでも、弊社のサポートサービスを通じて「自社の業務環境に沿ったアプリを作成できた」という事例を度々聴いていました。

 「本当にそんなに簡単に出来るの?」と少々疑っていましたが、ちょうどその頃、私が所属していた部署では、お客さまからお預かりした資料のスキャンに関する管理方法に頭を悩ましている最中だった為、「もしやkintoneで解決できるのでは?」と思い、半ば実験的に資料管理アプリを作成させていただきました。
 kintoneサポートの担当社員のフォローを受けながらでしたが、短期間で実運用できるアプリが完成したため、そのまま使用することになりました。

 そこから所属部署で使用する決算の管理表やコミュニケーションアプリなどを次々と作成することになり、いつのまにかkintoneのサポート業務を行うシステム部署に異動していました。(笑)

Q:そんな経緯があったのですね!では、本当に未経験じゃないですか!(笑)

そうなんです。(笑)

Q:短期間で一体どのようなステップアップがあったのでしょうか?

アプリを作る画面がシンプルなUI(ユーザーインターフェース)であるため、すぐに仕様を理解できました。なので、基本的な操作に関して何かステップを踏んだ意識はなかったですね。

 しかし、アプリを構築する上で重要なデータベースと各アプリの関係性に関しては、kintoneサポートの担当社員から沢山フォローをいただきました。
例えば、資料管理アプリを作る上でも、「どの顧客の資料か」を判定できるように、まずは顧客情報を「顧客マスタ」にまとめてから「資料管理アプリ」に紐づける必要があるなど…。
操作手順などはネットで検索すればある程度、理解ができましたが、kintone内のアプリの関係性に関しては、実際に自社の環境に即した形でフォローを貰わないと、システム初心者の私には、なかなか理解が難しい印象でした。

Q:なるほど…。気軽にアプリが作れるkintoneだからこそ、アプリ間の関係性の理解は重要かもしれないですね。

そうですね。データベースと進捗を管理するアプリの関係を理解しないと、アプリが乱立したり、想定した動きにならなかったり…様々な問題が生じることを勉強しました。実際に私が作成したアプリの中でも、データベースとなるアプリを「もっと緻密に作成しておけばよかったなぁ」と感じ、その都度、先輩社員から「データベースアプリにこの項目を追加しよう!」とか「アプリ間を紐づけるためのアプリを用意しよう!」など、フォローを貰い解決しました。

 ただ、これまでの経験を踏まえて言うと、そのような理解が一度できれば、自社の業務を見つめなおして「これもkintoneで管理できそうだな」「もっとこんな工夫ができそうだな」と様々な発想がどんどん生まれてくると感じています。
勿論、多少テクニックが必要な場合もありますが、難しい内容でなければすぐにアプリとして形に出来ますし、使用しながら修正も出来るので走り出しも早いですね。

Q:そうなんですね。実際にお客さまへのサポートでもそのような点をお伝えしているのですか?

はい。kintoneをこれから導入されるお客さまには「運用後のイメージをある程度固めて開発すること」が一番大切であることを、まずご理解いただくよう努めています。また、既にkintoneを運用されているお客さまであっても、まずはアプリ間の関係性が整っているかを確認し、今後の運用のイメージをお伺いすることから始めます。

 サポート当初は「運用のイメージが具体的にできない…」という嘆くお客さまもいらっしゃいます。ですが、初期段階でお客さまの業務環境をきちんと確認し、kintoneで実現したいことを一緒に整理することでイメージが固まっていきます。すると「この業務もkintoneで管理したいです!」「Excelで作成していた資料をkintoneの管理表から直接出力したいです!」など、次第にお客さまからご質問をたくさんいただけるようになるんです。そして気づいたタイミングには「こんなアプリを作ってみたのですが、レビューいただけますか?」というご依頼に変わってきて…。毎度、そのタイミングで「やったー!」と感じています。(笑)

Q:自然とkintoneの良さを体感していただいてる形ですね!

そうですね!大変うれしく思います。

終わりに

 今回は弊社の活用事例とサポート業務に携わる社員のインタビューを通して、kintoneは「システム開発が未経験の方でも、導入後のイメージが固まれば運用可能!」ということをお伝えさせていただきました。
 次回は、実際に弊社がお客さまをサポートさせていただき生まれた数々の成功事例をご紹介いたします!お楽しみに!