Column/コラム

日本政策金融公庫に融資を断られたが、1年後の再挑戦で融資を獲得した事例
2024.04.09
融資業務

日本政策金融公庫に融資を断られたが、1年後の再挑戦で融資を獲得した事例

日本政策金融公庫に融資を断られたが、1年後の再挑戦で融資を獲得した事例

これから創業することを考えている方にとって、融資獲得は夢を現実にするための大きな一歩となります。しかし、いざ申し込みをしてみると、融資申請が断られたということも少なくありません。
一度断られてしまうと、融資を受けることは無理かもしれない…とあきらめてしまう方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
しっかりと戦略を立てて対策をおこなえば、再度審査を受けて融資を獲得することは可能です。

解決策の鍵は、適切な準備と専門家との協力にあります。自己資金の確保、市場調査に基づく明確なビジネスプランの策定、そして専門家との連携は、融資申請の成功に不可欠な要素です。
これらの取り組みによって、金融機関の信頼を獲得し、ビジネスの実現可能性を示すことができるのです。

これは、ある40代サラリーマンであるAさんの事例からも明らかです。
Aさんは日本の工芸品を海外に輸出するビジネスを立ち上げたいと考えていましたが、日本政策金融公庫からの融資を断られてしまいました。その理由は、自己資金の不足、市場調査の欠如、具体的なビジネスプランの不在などでした。
しかし、Aさんは専門家の助けを借りてこれらの問題点を一つひとつ解決し、結果として650万円の融資を獲得することができました。

この事例を通じて、読者の皆様には融資獲得の道のりにおける実践的なアドバイスを提供できると考えています。本記事を読み終えるころには、融資申請の際に直面する可能性のある課題を乗り越え、成功へと導くための具体的な戦略を理解していただけるでしょう。
くわえて、個人で申し込みをして融資獲得に失敗してしまうことで、事業の開始が大幅に遅れてしまうというリスクがあることもAさんの事例を通じて学んでいただけるはずです。

再チャレンジで融資を獲得できた成功のポイント

Aさんが再チャレンジで融資を獲得できた理由は大きく3つあります。

1つ目は自己資金をしっかりと確保したことです。
Aさんは、自己資金が不足していたことを認識し、現在の収入から資金を積み立てる努力をしました。また、有価証券を現金化するなど、自己資金を増やすための具体的なアクションを取りました。融資を受ける際には自己資金の有無が重要なポイントとなりますから、この点を改善したことが大きな成功要因となりました。

2つ目は市場調査に基づく明確なビジネスプランを作ったことです。
Aさんは、市場調査を行い、売上見込みを具体的に示すことができました。この市場調査に基づき、実現可能なビジネスプランと60か月の事業計画書を作成しました。この明確で具体的な計画があることで、融資審査において信頼性が高まり、融資の承認に繋がりました。

3つ目は再チャレンジの際に専門家と協力したことです。
最初に融資を断られた後、Aさんは私たち融資の専門家に相談していただきました。専門家のアドバイスに従い、自己資金の確保、市場調査、事業計画書の作成など、融資を受けるために必要な準備を行いました。このような専門的なサポートを受けることで、Aさんは融資獲得に向けて間違いのない対策をおこなうことができました。

それでは事例を確認していきましょう

個人で融資の申し込みをしたものの失敗

今回の事例のクライアントは40代のAさん。
ご相談いただいた当初のAさんは、サラリーマンとして企業に勤めていました。

Aさんは以前から、日本の伝統的な工芸品を海外、特に欧州市場へ輸出するという夢がありました。その夢を実現するため、Aさんは自身の知人のネットワークを活かし、欧州での販売ルートを確保していました。

さまざまな準備を行い、いよいよ事業を実現する目途が立ったAさん。
夢を形にするための最初のステップとして、日本政策金融公庫に事業の資金を調達するための融資の申し込みを行いました。
しかし残念なことに、その融資は断られてしまいました。
融資を断られたことで、一時は挫折を味わったAさんですが、諦めきれずに、数か月後に私たちのもとへ相談にいらっしゃいました。

融資を断られた理由を分析し、さまざまな対策を実施

まず私たちは、Aさんが日本政策金融公庫から融資を断られた理由を詳細にヒアリングし、分析を行いました。そこから判明した理由は主に次のようなものでした。

  1. 自己資金を用意していなかったこと。
  2. 市場調査をおこなっておらず、売り上げの見込みが不明だったこと。
  3. 輸出に関する事業経験がなかったこと。
  4. 工芸品の仕入れ先となる製造業者と具体的な話し合いをしていなかったこと。
  5. 個人的な支出のカードローン残高があったこと。
  6. 事業計画書がなかったこと。

この状況を打開するために、いくつかの対策を行っていただきました。

まず、自己資金の問題に対しては、Aさんに今の収入から少しずつでも資金を貯めるようにアドバイスしました。また、可能であればAさんが保有していた有価証券を売却して資金を作ることも検討してもらうよう、アドバイスさせていただきました。

次に、輸出先の市場調査をしっかり行って、どれくらいの売り上げが見込めるかをはっきりさせていただくようにアドバイスをおこないました。市場のニーズを把握して、それを元にした計画を立てることで、事業計画が作りやすくなるためです。

また、Aさんは輸出ビジネスの経験はなかったのですが、現在の仕事で工芸品に関わる材料を扱っていた経験がありました。この経験を活かして、製造業者との具体的な打ち合わせを行い、しっかりとした仕入れルートを確保していただきました。

個人的なカードローンについては、調査をおこなった結果、返済に遅れがないことが確認できました。そこでローン残高以上の自己資金を用意していただき、融資審査におけるマイナスの評価を回避する対策をとっていただきました。

 POINT 
ローンがある場合、返済の滞りが無いことが融資を受ける場合の大前提となります。返済期日を過ぎた未払金等がある場合は、審査に通るのは極めて難しくなります。
また、住宅ローンや自動車ローンなどとは異なり、消費者金融やカードローン、キャッシングなどの借り入れは、融資の評価ではマイナスとなってしまいます。仮に100万円の自己資金があっても、これらのローンが100万円あったとすれば、相殺されて自己資金は無いものと評価されてしまいます。

最後に、これまでの取り組みを踏まえて、具体的で実現可能な60か月数値計画を含む事業計画書の作成をサポートしました。計画書には、前述の市場調査の結果など、融資を受けるために必要な要素を盛り込みました。

このようなさまざまな対策の結果、Aさんは日本政策金融公庫から650万円の融資を受けることができました。しかしながら、最初の申し込みから融資を受けるまでには1年という時間がかかりました。

まとめ

この事例からわかるように、一度融資の申し込みが断られたとしても、再チャレンジで融資を受けることは可能です。
しかし、一度断られてしまうと、次に融資を受けるためのハードルは上がってしまいます。そうなった時には、私たちのような専門家がサポートしても難しいというケースも多いですし、初回よりも入念な準備が必要になります。

融資を受けるためには、単に良いアイデアを持っているだけでは足りません。
しっかりとした戦略が必要で、その戦略を立てるのは一人では難しい場合が多いでしょう。ですから、融資を申し込む前に、専門家に相談して準備をしっかりと整えることが重要なのです。